2006-01-01から1年間の記事一覧

支援対象と契約主体――法と役割理論

「ひきこもり支援活動の結果、被支援者が粗暴なファシズムの信奉者*1になってしまったが、元気にはなった」場合、それは「ひきこもり支援」としては、成功している。 ファシズムという許し難い思想*2を選択してしまってはいるが、「社会参加」には成功してい…

エリート主義

全体性について充分に参照しうる能力 conpetance を身につけた者だけが《学 Wissenschaft》に関われる、という共通了解がある。 貴族主義的、閉鎖的ともいえる。 もともとヨーロッパとアメリカでは、ルールをめぐる伝統が違う。 アメリカでは、いろいろな手…

《学問 Wissenschaft》(ヨーロッパ的) と、 《科学 science》(アメリカ的)

ウェーバー:「日常を幸せに生きることで幸せになれない人が知識人」 宮台真司:それを《超越系》と呼び、「日常を幸せに生きることで幸せになれる人」を《内在系》と呼ぶ。 ウェーバーによれば、超越系はたいてい宗教に行く。→ 宗教に行かない場合に学問の…

二クラス・ルーマンの出発点と、「システム理論」

ルーマンは、フランクフルト学派「批判理論」の批判から出発した。 もうひとつ、行政学から出発した。 これが、ルーマンの立ち位置を理解するために非常に大事。 フランクフルト学派は、ナチに対抗するための学問的活動。 「ファシズムを生み出すのは感情だ…

対談「方法としての社会学」を視聴。 ルーマンの入門的解説としてすごく面白かった。 以下、宮台真司氏の発言部分からメモ。

KHJ親の会「第3回全代研 名古屋大会で宣言決議」(11月4日、5日)

■名古屋大会宣言: 引きこもり問題は社会にとって次世代問題である 制度対応を求めていく ガイドラインに続く制度対応を求めていく 訪問サポート、医療、カウンセリング、中間施設、親の会、 社会参加に行政の指導と助成を 社会不安障害(SAD)を解決への糸…

「リスクと恐怖のマーケティング」(神足裕司)

安倍政権は技術革新をテコに経済成長を目指すため、「イノベーション25」を掲げ、医薬品の実用化を「1丁目1番地」として、最も重要な課題に挙げた(日本経済新聞、2006年11月24日)。 参照:「生まれぬ新薬、治験が壁」(『タカラバイオ応援団』) アメリ…

雑誌『ビッグイシュー』 第62号 発売中

斎藤環さんと私の往復書簡 「和樹と環のひきこもり社会論」、今号は斎藤さんで、『共有こそカルトの第一歩?』です。 ▼以下、その原稿より。 むしろ意外に多いのは「自殺なんか考えないけど、今事故とかで死んじゃってもべつに構わない」という自意識でしょ…

「専門性」とは、社会的に承認された欲望枠

欲望の環境整備に、教育と労働の政策が(一部)失敗している。 「すでにある環境で欲望に成功した者のみが成功し嘲笑する」 「お前はこれを欲望するべきだ」 欲望を実演してみせ、「欲望のガイドライン」を提供するのが教師の役目か。

「欲望枠」の政治

誰もが、「自分を、自分の作り出すものを欲望してほしい」。 自分がすでに生きている欲望を欲望してほしい。 ▼「誰かの欲望に感染する」「他者の欲望を欲望する」「人間の欲望は他者の欲望」というよりさらに強烈なのは、「自分と同じものを欲望してほしい」…

「欲望の民主主義」と、「欲望の倫理」は両立できるか

「欲望として評価できるかどうか」ということと、「欲望することに成功しているかどうか」のレイヤーの違いに注意しなければならない。 「間違った欲望」*1であっても、欲望することそのものには成功している。 ▼「欲望の民主主義」と、「欲望の倫理」は両立…

「欲望されること」と、愛

挙国一致の、「ニート・ひきこもり育成ゲーム」。 誰かを、自分が欲望できる状態に導こうとすること。 親子の間にもあるのかもしれないが・・・ ▼長期化したひきこもり状態の子供を抱える多くの親が、「生き延びてくれればいい」に至る。 対象をスペックに還…

「欲望のオリジナリティ」の自意識 ⇔ 不可避の無意識

欲望枠が「一人一派」では、社会的承認は難しい。 しかしそのことに「自分はオリジナルだ」というナルシシズムも発生し得る。 「オリジナリティ」と「本物の逸脱」の間で緊張感にたわむれている。 あるいは、オリジナリティ云々の自意識なき「野獣系」*1でも…

《差異のゲーム》――対象と欲望の「オリジナリティ」

自分が生きることに成功している欲望を「これはオリジナルだ」と言う必要はないが(歩ける人が、「これはオリジナルの歩き方」と言うようなもの)、「オリジナルに欲望できている」という自意識こそが欲望されるケースがある。 ▼「このようにオリジナルだか…

すでに生きられている、「欲望の主意主義」

一人ひとりにおいて、生活を支える暗黙の主意主義が、つまり《信仰》が生きられている。 それをフィールドワークすることは、信仰を一度メタに眺めることではあるが、それ自体が「フィールドワークすることには価値がある」という信仰の枠組みにおいて成立し…

メモ

真にオリジナルなものは、「単独的に必然性に到達した」と呼ぶべきであり、他との相違の自意識において確認されるものではない。 ▼「差異」と「自己言及」のゲームとの相違。 「ほかと違っているから」という自意識によって維持されるのではなく・・・ ベタ…

「メタ的考察の拒否」という症候

メタ的考察は、差異(オリジナリティ)を主張する知的お遊戯ではなくて、反復強迫的な倫理的衝動に基づく取り組み。 知的ゲームでしかないメタ言説と、「倫理的探求・政治アクション」であるメタ言説の違いは何か。 私は後者にしか興味がない。 「差異の競い…

「公共精神」の、反復強迫的な性格

公共精神は、「反復するアリバイ」ではなく、「反復する分析」*1として再帰する。 本当に重要な素材は、そのたびに抑圧される。 分析労働は、「抑圧されたメタ理解」を目指す。 抑圧されたメタ理解の剔抉と形成が、しんどい労働になる。 トラブルは、メタ理…

べき論と自己分析 【参照:「自己分析という危険な賭け」】

自分のしんどさに固執することは、そこから公的な問題を立ち上げる分析労働の萌芽であり得る。 個別事例は、むしろ無私的に容赦なく素材とされる*1。 逆に、自分のことを滅却しているように見えて、「自分は公的なことに取り組んでいるんだ」というナルシシ…

厳しさのスタイル

情報のフローとしてのひきこもりなのか、 問いのストックとしてのひきこもりなのか。 答えを共有する厳しさなのか、 問いを共有する厳しさなのか。 再帰性への態度の取り方が、思想の分水嶺になる。 ひきこもり支援をめぐる立場の違い*1は、ほぼここに集約で…

「何も考えるな、とにかく順応しろ」

答えのわかりやすさを生きる(動物化)のか、 問いの強度を生きるのか。 既存のひきこもり支援――再帰性の忘却(or抑圧)を求めている*1。 上山――再帰性の共有によって、かえって再帰性が緩和される、というパラドックス。 再帰性は、それを緩和しようと努力…

政策対象としての「動機づけ」

『現代思想』 2006年12月号 「特集=自立を強いられる社会」 樋口明彦 「若者の「自立」を解体する 〜多元的な社会的包摂の試み」 p.133 いまや、日本において動機づけは突出した政策対象として機能し始め、射程の広い問題となりつつある。 若者を動機づけよ…

「理論は要らない」という言い分の恣意性

その意見自体が理論として提出されている。 「どこまでの理論なら要るか」の水準決めは恣意的。 これはそのまま、「再帰性は要らない」の議論に重なる。 再帰性も理論も、「要らない」のではなくて、「常に生きられている」。 リアルタイムの終わりなき検証…

「孤立」・・・?

強迫的な再帰性が「ひきうけ」を不可能にする。 絶望的に孤立する。 完全に孤立しては、「ひきうける」ことはできない。 【「利用する/される」ことはできても】 どのようなロジックで、再度「共有」を目指すか。 【再帰性緩和の模索】 扶養されているのだ…

再帰性と事後性――体験共有のロジック

体験共有をどういうロジックで追求するかに、その人の思想が表現される。 《問い》は、「ひきうける」ことの萌芽。 「ひきうける」とは、ほとんど無理かもしれない賭けの追求。 ひきうけても、孤立するかもしれない。 「考える」とは、ひきうけ労働の遂行=…

失態

他者と交流を持てば、必ず失態と誤解にまみれる。 そのことに強迫的な恐怖を感じれば、ひきこもるしかなくなる。 すると、ひきこもること自体が失態になる。 失態を抹消しようとすると、自分を消すしかなくなる。 しかし消えること(自殺)は、それ自体が失…

ここ数日の記録

外出やイベントが続きました。 11月17日 ある溜り場スペースのスタッフミーティングに参加。 11月18日 京都文教大学「不登校とひきこもり研究会」(高石浩一教授)のご主催で、親子相談会にお邪魔し、『「治療」から交渉関係へ』と題して講演。 【チラシ(PD…

「専門性」メモ 6 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】

みずからの専門性やその手続きについて、再帰的な検証をつねに再生産できること。 その検証において、常にツボを押さえることができること。 再帰的自己検証のリアルタイムの実演・共有としての、「臨床性」。 ▼「治す」ことを是とするのみの一方的な、みず…

「専門性」メモ 5 【1】 【2】 【3】 【4】 【6】

既存の制度的専門資格(医師・学者・臨床心理士など)を養成するプログラムにおいて、どのような「専門教育」が為されているのかを、本当にクリティカルなニーズとの関係において検証するべき。 それぞれの専門性を問い直すと同時に、その専門的役職にしかで…