2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

メタ的・客観的な語りに対して、ダメな自分語りがあるという支配的な理解。 じっさいそういう両極の生産様式しか見られないし、理解する側が、そういう両極しかあり得ないと思っている。 問われているのは、「どうやって自分はみずからをプロセスとして生き…

(2) ベタな順応主義の暴力と、動態的な反差別

昨日の続きで、やはりメモをまとめてみます。 特権的な身分固定は、政治的に不当というばかりでなく、ひきこもりの場合 “臨床上の” 害悪でもあるというのが私の理解です。 これまでにも「ひきこもり」というネガティブな呼び名が差別や自意識を助長する、と…

(1) 紛争=症候は、社会的論点として受肉する

ここ最近考えていること、議論していたことを、ややまとまってメモしてみます。 努力のスタイルとその社会的編成が、私の努力の主題になっています。 ある問題を扱おうとするときに、そのアプローチの仕方そのものが、「問題」の一部分であることがある。 法…

メタ言説への、解離的な居直り

★雑誌『ビッグイシュー』 第105号 発売中斎藤環さんと私の往復書簡 「和樹と環のひきこもり社会論」 は、今号で最終回です。 最後は私で、『順応状態の完成より、手続きの整備を』。 支援する側もされる側も、完成された順応状態を想定するのはまずい。 政治…

「ひきこもりなど支援で新法へ」(NHKニュース、動画あり)

若者への支援をめぐって、麻生総理大臣は、先月の所信表明演説で、「若者に希望を持ってもらわなくては国の土台が揺らぐ」として、「困っている若者に自立を促し、手を差し伸べるため、新法を検討する」と述べました。これを受けて、政府は、長期間、自宅に…

幼児性への嗜癖的居直りが、状況を分節する労働過程を排除する

ひきこもっている人を、説教で締め上げて「大人にする」というのがパターナリズム。 これを批判する人たちは、「もはや成熟はできない」というが、「自分はすでに正しいポジションにいるんだ」というこのメタ的な態度自身が説教だ。 自己中心的な嘘やナルシ…

労働過程を中心化すること

社会復帰のためのさまざまな事業や提案がなされているが、そこには「成功した状態」から、できない側を否定する発想しかない。 逆に言うと、「うまくいった側」は、すでに自分を反省しなくていいことになっている。 これは、結果物としての「売れた商品」の…

バラバラでベタな「メタへの嗜癖」

努力のプログラム自体をまちがっている。 その方向で勤勉にがんばっても、問題をごまかしているだけ。 「○○をすれば引きこもり問題に取り組んだことになる」の前提を間違っている。ところがこれを言うと理解を拒否する。ひきこもり問題に取り組むより、自分…

「制度を使う」ことのあやうさ

立木康介 「ラカン派の視点から――制度を使った精神療法とラカン派応用精神分析」(『医療環境を変える―「制度を使った精神療法」の実践と思想』pp.347-370掲載) p.349-350 より*1: 「パリ・フロイト学派」、および、1980年の同学派解散のあと、それを継承…

身のまわりに、権威主義者、嘘つき、ナルシストしかいない場合、どうしたらいいのか。 中間集団の問題とはそういうことだ。 「社会復帰」なんて、大文字で綺麗事で語ることじゃない。 「金と権力」を薄汚く語る大人が嫌いだった。 でもあれは、「金と権力が…

ひきこもり――家族の側に、拒絶の権限はないのか

前回は、国が扶養を押し付ける「扶養義務」を調べてみたが、実際にひきこもる人が「扶養しろ」と訴えを起こした事例は見当たらない*1。 基本的には、暗黙の威圧、感情的な暴発、身体的な暴力などによって、なし崩しに扶養が続いてしまう。 よく「親が甘やか…

ひきこもる人への扶養義務は、法律ではどう考えるか(メモ)

なるだけ基本的な本を引用したり、ネット上にわかりやすい説明があったらリンクしたり、という具合でこれからも触れていこうと思います。重要なポイントにはくり返したち帰ると思いますし、理解の誤りや文献のアドバイス等ありましたら、ぜひご指摘ください…

「ドゥルーズ - 左翼とは何か?」(Air du Temps)

リンク先の管理人 chaosmos さんが字幕を入れておられて、ドゥルーズ本人がわかりやすい言葉で語っています。 人権と法解釈の話は強く励まされた。 「左翼は遠方から考えていく」というのだが、 自分の当事者性を徹底して問い詰めるような議論*1では、自分の…

固着した場所との付き合い方を変えること(反芻処理)

神戸市立中央図書館に、資料本や判例のコピーに行く。 今さらではあるが、《図書館》という場所に感じ入る。 帰り道、神戸地方裁判所のまわりをぐるりと歩きつつ*1、《裁判所》 《精神病院》 《学校》 という場所を、単に否定するのではなく、制度として受け…

「命綱」という秀逸な比喩

当事者化論のブックマークより。 コメントをくださったAFCPさん*1は、児童精神科医とのこと。 AFCP: 言いたいことはなんとなくわかる気がするけど、こんなめんどくさい人のいる領域を支援にいこうとは思わないなあ。 「オレ(達)を助けにくるなら命綱なん…

政治的・法的にばかりでなく、臨床的な趣旨をもった《当事者化-論》 and back (メモ)

当事者論を標榜しながら私を非難してきた人たちと私との決定的違いは、「自分自身を対象化した当事者論になっているかどうか」だ。相手を非難するのに自分を100%の正義に置ける幼児性に私は激怒している*1。 論じている自分を、相手との関係に置いて対象化…

「体験を素材化すること」の周辺

★雑誌『ビッグイシュー』 第104号 発売中 斎藤環さんと私の往復書簡 「和樹と環のひきこもり社会論」、今号は斎藤さんで、『私は降りることにします』です。 タイトルにあるとおり、次回の私の返信でこの往復書簡は終了です。 ここ数ヶ月のやり取りで、斎藤…