2004-05-01から1ヶ月間の記事一覧

大局観と局地戦

雑誌『諸君!』6月号の斎藤環さんの発言については、僕も chiki さんと同種の危惧を感じました。(でもこの件については、ご本人に何も確認していません。) 彼の立場・戦略については、『ひきこもり文化論』ISBN:4314009543 の冒頭でご本人が詳しく論じて…

「シニシズムの中で、フェティッシュをさがす」

上の段落まで書き上げ、さて chiki さん(id:seijotcp)の昨日のエントリーについて書こう、とあらためてサイトにお邪魔したら、新しいエントリーで引きこもりを「物語なき状態で、フェティッシュの発露をなかなか見出せない主体」と正確に描き*1、 フェティ…

不自由で強迫的な「観念的硬直性」

id:Ririka さんからの問題提起の(2)、「本当の愛」について、昨日少しだけ触れました。で、それの続き、というか本編を書こうと思い(もう内容は決めてました)、参考までに世間でどんな言説が流通しているのか見ておこうと思って、「本物の愛」「本当の…

「使える概念」のふりわけ

昨日の≪対象a≫についての議論は、「現時点での僕の理解メモ」ということで。僕としては(その議論が持つ)苦痛緩和上の意義にしか興味がなくて、だから「単独性」を考える上で参照してみたわけです(僕は「単独性」について考えることには苦痛緩和上の意義が…

 「大局観」は可能か。

こんにちは。25日のコメント欄で、当ブログのタイトル『Freezing Point』を変えるようご提案がありました。代替案としては、id:aimee の『籠屋本舗』(こもりやほんぽ)など面白いと思うのですが、オフラインで何人かに尋ねたところ、不評でした(笑)。ダメ…

(2)について(「本当の愛」)

id:Ririka さんは昔、男性から「君にとっての本物の恋愛ってなんだ?」と訊かれ、「本物の恋愛なんてナーンセンス!」と答えたという。ところが最近の日記で「リリカさんにとって『好き』とか『恋愛』ってどういう感情のことですか?」と訊かれたときには、…

「固有名のトートロジー」と、≪対象a≫の共時的・通時的遍在性

私が新宮氏の『ラカンの精神分析』ISBN:4061492780 で、最も理解できず、なのに最も気になる箇所が、「対象aは黄金数である」という章(p.92)だ。 ≪対象a≫はラカンのジャーゴンの中でも鬼門の一つで(ラカン自身の学説の中でも位置づけが変わっていったらし…

(1)について(「無意識的な愛」)

「僕の無意識が彼女を愛したとき…」は、東浩紀氏や柄谷行人氏の主張ではなくて、ラカン派の精神分析に出てくる議論から私が抽出し、以前から気にしながらも、その真意がよく理解できなかったテーゼです。 → 今回調べなおしたら、間違っていました…(泣)。 …

問題提起

26日のエントリーで、私は次のように書いた。 確定記述レベルの相対的なモテ競争は、意識レベル。遡及的に気付かれる絶対的な「愛の剰余」は、無意識レベル。 → 「僕の無意識が彼女を愛したとき、僕は本当に彼女を愛している」という説。 それに対する、id:R…

 無意識的な愛

性的嗜好や愛情生活の傾向が政治的・思想的含意を持ち得ることは、すでにいろんな人が論じている。火種も多く、実は以前にこうした話題でずいぶん嫌な思いをしているので、勇気が要るが、引きこもり周辺の苦痛(およびその軽減)にとってもとても大切なテー…

 無意識的な愛

性的嗜好や愛情生活の傾向が政治的・思想的含意を持ち得ることは、すでにいろんな人が論じている。火種も多く、実は以前にこうした話題でずいぶん嫌な思いをしているので、勇気が要るが、引きこもり周辺の苦痛(およびその軽減)にとってもとても大切なテー…

無名の恐怖

≪存在≫の焼け野が原で「無名の因幡の白兎」のように生きる苦痛、その空虚感の発作に20年近く苦しめられてきている*1僕にとって、この辺の話はとても致命的です。 「固有名と無意識的な愛」の話がどの程度の射程を持ち得るのか、よくわかっていません。単純な…

疑問など

絶対的な「愛の剰余」にとって、確定記述レベルは本当に関係ないだろうか。 代替可能なレベルで「素敵な人だ」と思う段階を経なければ、愛情には進めないのではないか。 いったん愛情を抱いたあとに、「こんな人だと思わなかった」と「愛が冷める」ことはな…

相対的魅力(特殊性)と絶対的魅力(単独性)

引きこもりの苦しみに、「流動性の高すぎる世界での自意識」が関わっているとしたら、性愛をめぐる考察が何かをもたらしてくれるかもしれない。 「モテと愛のちがい」を考えるうちに、「固有名」論と「無意識的な愛」の話を掛け合わせ、何か雛型を作れないか…

 固有名と愛

ここのところ、過去のコメント欄にとても興味深い投稿をいただいています。 うれしい。 少しずつお返事しますね。 今日は、少し新しい話題を。

ネタ集

いま僕があたためている議論に関連して、この書評(by 中島一夫氏)の諸指摘が気になっている。 「個と類」(特殊性と普遍性)という回路 【疎外論】 権力の形態が「規律型」から「管理型」へ 【「国家」(中心)から「社会」(局所)へ】 権力は実体的要素…

無言の大量排除

同じく id:Bonvoyage さんの指摘する、「よく聞かれる奇妙な発言」。 「みんな我慢してやってんねんぞ!」 他者をシステムに回収しようとする圧力発言なわけですが、「経済的脱落者は社会的に排除する」というシステムを徹底させれば、この説教発言は必要な…

「ひきこもりシステム」(斎藤環)

各方面にリンクされている id:Bonvoyage さんのコメント。 「お前にはみんな迷惑してんだよ!」って何回も言われたことあるんですけど、「みんなって、あんたと、あと誰?」って聞くと、たいていは答えがない。 「俺はお前に迷惑している」と言われるならば…

経済的敗北=社会的排除

20日コメント欄の id:sivad さんのご指摘。 今の日本の多くの人たちは基本的に勝ち逃げしか考えていません。全体が上手く行く方法があるというアナウンスがあらゆるところで失われています。多くの人がゼロサム*1ゲームに勝ち残るしかない、と考えているとい…

苦痛と社会的処遇

24日コメント欄の id:hotsuma さんのご指摘をきっかけに、当ブログの立ち位置や作業について再整理してみました。

いらだち

最も繊細なものが、最高の強度を獲得せねばならないと思う。

自分という、逃げられない現実

夜、id:aimee より tel.。それぞれのジャンルにおいて、「当事者が、当事者のためにできること」について、かなり突っ込んだ具体的な話をする。お互い状況が煮詰まっているぶん、話がビジネスライクにさくさく進む。具体行動を切り開いてくれるようなドライ…

 手仕事をおしまず。

いただいたコメントや他の方のダイアリーについて、アップしたい話はたまっているのですが、昨日からノドが痛いなぁ、と思っていたら発熱。ひとまず今日はあきらめます。

「説教する権力」あるいは「訓練」考

社会の大半の人は、ヒキコモリに無関心だ。でもその無関心な沈黙は、いわば「量子化されていない批判」であって、いざ何かが起こればあっという間に怒号に変わる。社会が危機に晒された、と判断されれば、その犯人は実体化される。 → 「誰も何も語ろうとしな…

オリエンタリズム?

昨日ご紹介したサイトは「生まれも育ちも日本」の方だったのですが、あらためて「日本語以外の言語による情報の送受信」について考えさせられました。で、久しぶりにググってみた。 google:hikikomori → 18,100件。 去年10月の検索時に何件だったかは覚えて…

 いろいろ勉強中

リンク元から、“A Hikikomori Writes...”という weblog を知りました。イギリスの方でしょうか、ニートも取り上げてらっしゃいます。 こちらには過去ログも。 当ブログについて、「ベテランの引きこもりによるもので、社会学的・哲学的観点からこの(引きこ…

 「支援批評」? 「ヒキコモリ論の分類」?

アカデミズム(知識人)の言葉は、引きこもりの現場ではほとんど役立たない(少なくとも届いていない)。現場の情報は、有意義な形でアカデミズムに届かない。 「苦痛除去に役立つ」という意味において本当に「臨床的」*1な言葉・アイデア・活動を必要として…

正しさ

学問的な正しさ 「AはBである」 倫理的な正しさ 「AはBであるべきだ」 市場的な正しさ 「Aは求められている」 ほかにもある? ていうか、僕らはどこで考えるべきなんでしょう。 自分の身の処し方における戦略と、マクロに向けての戦略と。

働く(消極的な)理由

≪働かねばならない≫には、 ①価値観レベル と ②事実レベル がある。 ①は、社会や家族による道徳的脅迫、本人の自責の念などを生む。②で働く必要がなくても、①が働くことを要請したりする。 ①と②は自覚されないまま状況の中で複雑に絡み合っている。 ①が牽引役…

 物質と正しさ

引きこもりの話は、ニート論の一部という形でやった方がいいのかな。