2009-01-01から1年間の記事一覧

ロラン・バルト 喪の日記作者: ロラン・バルト,石川美子出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2009/12/23メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 48回この商品を含むブログ (22件) を見る立ち読みで通読。 こういう文章にも、他のジャンルにはない、 替えがたい…

イベント情報: 平成21年度 こころの健康科学研究*2成果発表会

ひきこもり支援の新たな展開をめざして 日時: 平成22年2月19日(金) 13:30 開演 (13:10開場) 16:45 終了 会場: 日経ビル 6F 日経カンファレンスルーム(東京都千代田区大手町1-9-5) 入場無料(下記問い合わせ先宛てに往復はが…

声と集団の難しさ

「だれでも受け入れる集団」「全面受容」は、関係を分節する声を抑圧する。 あるスタイルの声しか認められない(聞いていない)。 無能力者の受け入れは、存在を受け入れる代わりに、相手の声を拒絶している(参照)。 けっきょくは自分のほうが強いことを確…

ノンケ――関係性のメインストリーム

26日の「虹茶房」*1に初参加。 以前から気になっていること ブログ経由で私宛てにいただくメールの何割かはセクシャル・マイノリティのかた。 「不登校・ひきこもり」を看板にした支援団体や当事者系グループは、セクシュアリティを表向きには扱えていない(…

診断カテゴリーへの依存

DSM-V研究行動計画作者: デイヴィッド・J・クッファー,マイケル・B・ファースト,ダレル・A・レジエ,黒木俊秀,松尾信一郎,中井久夫出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2008/07/24メディア: 単行本購入: 16人 クリック: 224回この商品を含むブログ (10件) を…

『クォンタム・ファミリーズ』 読書メモ

クォンタム・ファミリーズ作者: 東浩紀出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/12/18メディア: 単行本購入: 61人 クリック: 1,937回この商品を含むブログ (197件) を見る読んでよかったです。 文芸的な価値は私には判断できませんが、刺激やヒントがたくさんあ…

ドゥルーズが解説する、グァタリの中間集団論

「一般意志2.0」の議論では、「中間集団の否定」という文脈で、 ドゥルーズの「非コミュニケーション」が引用されています。*1 言論も、コミュニケーションも、すでに腐りきっているかもしれないのです。言論とコミュニケーションはすみずみまで金銭に浸食さ…

「フランス大使館シンポジウム観覧メモ: 千葉雅也、池田剛介、濱野智史、黒瀬陽平、による「イストワールの現在」」(FERMAT池田純一氏)

フーコーが言った「人間の終わり」の時代をマジで受け取るために、ドゥルーズ=ガタリによる、新たな唯物論=機械論を突き詰めよう。 そのことを具体的に実感させてくれるモノとしてインターネットがある。 (略) 要するに、「人間外し」。 人が集まって話…

千葉雅也 (参照)

* なるほど、ルソーの引用おもしろい。濱野さんが挙げた邦訳で「[一般意志との]わずかな差が多く集まって」とされているのは、différence という概念を、「〜との違い」という相対的差異としてとらえようとしているが、この原文は、それ自体として騒めく差異…

濱野智史 (プロフィール)

* 帰宅早々に東さんの熱い復習 tweet が連投あったのでRT(ReTweet)。 補足で僕は『社会契約論』の該当部分の日本語訳を tweet しようと思う。ソースは白水社の作田啓一/原好男訳の『社会契約論;人間不平等起源論 (イデー選書)』p.36-37. 一般的に入手しや…

東浩紀

* 闘技民主主義/熟慮民主主義/データベース民主主義の区別でいこうかしら。ぼくがいいたいのは「直接」民主主義というより「データベース」民主主義なんだよね。 * 冗談ではなく、ぼくはこの文章にすごい大きな影響を受けて思想・批評活動を行ってきた。あ…

アーキテクチャ、「一般意志2.0」、ドゥルーズ (引用集)

勉強と資料のために、twitter 等からの引用です(強調は全て引用者)。 以下の議論と、ガタリが取り組んでいたはずの中間集団(groupuscules)の問題がどうつながるか、に興味があります。

《つながり方》という、集団的な意思決定のテーマ

「重要なのは、事業仕分けは、完全に公開で行われた。政府が変えるのなら、こう変えますよという納得のできる説明を国民全体にしないといけません。そして、国民が徹底的に議論し、世論をつくって政府が決めていくことが目的でもある。 0.1%へのアプロー…

「若者」って言うな

池上正樹*1 「「引きこもり」するオトナたち」(ダイヤモンド・オンライン) 以下、記事より: 引きこもる原因は、28%余りが「職場不適応」でもっとも多く、「病気」が25%、「人間関係の不信」が約22%と続く。性別では、男性が約7割を占め、年齢で…

NHKドラマ「その街のこども」(2010年1月17日23時〜)

「佐藤江梨子: 「生きているからできる」 震災15年ドラマ会見」(毎日jp) 「NHK「その街のこども」制作発表」(神戸フィルムオフィス) 「森山未來&佐藤江梨子、震災から15年目のドラマ」(マイコミジャーナル) 「映像でふりかえる 阪神淡路大震災」(N…

構成プロセスの困難と、《つながりかた》

臨床社会学ならこう考える 生き延びるための理論と実践作者: 樫村愛子出版社/メーカー: 青土社発売日: 2009/11/24メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 59回この商品を含むブログ (14件) を見る ずいぶん興奮しながら読んだ。 第3章「現代社会における構築…

関係を維持しようとして相手の問題意識の生態に合わせてしまう

繋がり方こそ思想のあり方。 それは同時に労働のプログラムになっている。 「そういう仕方では仕事をしたことにならない」: 最凶に周囲のナルシシズムに抵触する 相手が想定している「この方向で怒らなければならない」を共有できない。 私はまったく別の抑…

「仕事をしたことになる」というアリバイが優先される

いくらたくさん予算を組んでも、 現場の人は現場のピュアさを追求するだろうし、学者は学者としてのピュアさを追求して、 その「ピュアさ」だと思い込んでいるフレーム自体がもたらす苦痛に気付かない。 人材レベルで現場と学者をシャッフルしても、それぞれ…

「神戸ルミナリエ」

一人で行ってきました。 最近はほぼ毎年。 人ゴミは苦手で、初詣とかは行きたくない感じですが、 ルミナリエは「鎮魂」だし、最後の公園は、 「天井のない教会」みたいです。 あそこにいると、少し人にやさしい気持ちになるというか。 【12月14日追記】: 実…

臨床論としてのタルドと高田保馬

以下の研究会を聴講しました。 科研研究プロジェクト「ひと概念の再構築をめざして」 研究会 「模倣・勢力・資本 −タルドと高田保馬−」 発表者: 大黒弘慈 (京都大学大学院人間・環境学研究科准教授) 日時: 12月12日(土) 午前11時から午後1時まで 場所…

アンリ・マルディネ(Henri Maldiney)

「出来事としての治療――自分の先端に立ちつつ世界に存在する」(P.シャラザック+J.ブーデリック/橘宗吾*1訳、『季刊思潮』第3号(1989年)掲載) 11月24日、福井県の仁愛大学にお邪魔したのですが、そこで三脇康生氏からいただいたアンリ・マルディネ…

統治技術と臨床技法(メモ)

無意識論は、人格を単位とするのではない特異な意思決定論であり*1、フロイト的な技法論は、面接室内での統治技法といえる*2。 臨床技法は、それ自体が意思決定のための政治技術になっている。 「社会化」とは、ある統治フレームに人を収納すること。 統治機…

《関係性=活動形》のマイノリティ

「学校で教えたい授業シリーズ(大阪)」 〜貧困・野宿 / 不登校・ひきこもり / 精神障害 / セクシュアル・マイノリティ〜 当事者・支援者などによるセミナー 日時: 2009年12月6日(日) 午前10時〜午後5時 主催: Alternative Rainbow Class(ARC)…

「環境と臨床」への追記

NHKブックス別巻 思想地図 vol.4 特集・想像力作者: 東浩紀,北田暁大,宇野常寛(編集協力)出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2009/11/26メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 81人 クリック: 2,260回この商品を含むブログ (90件) を見る 環境論――身体障碍と…

環境と臨床

NHKブックス別巻 思想地図 vol.4 特集・想像力作者: 東浩紀,北田暁大,宇野常寛(編集協力)出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2009/11/26メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 81人 クリック: 2,260回この商品を含むブログ (90件) を見るあまり期待せずに、宮…

不確実さと権力

ものすごく参考になりました。 関連することをもう少し勉強したいし、これから何度も立ち返って考えたいのですが、とりあえずメモとして(以下、強調は引用者)。 ある人が意思決定をしなければならない場合というのは、結果の不確実性がある場合です。もし…

社会に継続的に参加できるとは、継続的に振るえる権力を維持できるということ。

「仲良くなる」ことが目的なのではなくて、権力の担い手として仕事を維持できるようになること。 自分の正しさを当たり前だと思っている人は、みずからが暴力の担い手になっていることに気づかない。 100%正しいことにされてしまった暴力は、暴力と呼ば…

逸脱した人間どうしの関係性は、剥き出しのヒリヒリ同士になる。

制度に守られていないから。 そして、社会順応している人からは、簡単に見下されてしまう*1。 関係性を築こうとするときは、いつの間にか信じ込んでいる「関係性のパターン」を、お互いに呼び出して押し付け合っている。 関係性について考えれば考えるほど、…

権力として構成される自分の声を分析する、というのは、フロイト的自己分析の変奏といえる。

「複数の声の中で、自分の声をはっきりさせる」ことは、政治の問題であるとともに、臨床の問題だ。 周囲には複数の声があって、私は自分をどうまとめ上げればいいかが分からなくなる(去勢のフレーム問題)。 自分は、関係の中に与えられている。だから集団…

「階級をときほぐす言語をなぜ持っていないの?」(田中泯)

自分の声でもういちど組み直す、というのは、臨床上どうしても必要なプロセスで、それは「ケア」とも違う。根拠づけの方法を失った現代の私たちは、放っておくと極端に硬直するかインフレを起こすかなので*1、つくるプロセスとして自分をまとめねばならない…