2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「都市下層問題研究会」(3月19日)

既存の制度的枠組みから言えば「障害がある」とは言えない*1にもかかわらず社会参加できない引きこもり経験者は、繰り返し人格的な侮辱や差別を受ける。 被差別の経験は、されたほうはずっと苦しむ。 相手の口にした言葉が、あいくちみたいに、ずっとこちら…

本田由紀氏講演会「社会変化のなかの教育・仕事・家族」(3月18日)

本田氏(id:yukihonda)と熊沢誠氏は師弟関係だと思っていたら、この日が初対面だったとのこと。 労働を基準とした――というか通常の――議論では、「社会参加できる人」が当たり前の前提になってすべての話が進んでゆく。 これでは「ひきこもり」は徹底的に置…

「『「ニート」って言うな!』読書会チャット報告」

井出草平(id:iDES)さん、chiki(id:seijotcp)さん、私の3人で、『「ニート」って言うな! (光文社新書)』の、特に本田由紀さんのパートを検討する読書会を行ない、そのログを推敲してアップいただいたものです。▼私たち3人の主張は相互に対立を含むので…

雑誌『ビッグイシュー』

現在発売中の第46号に、斎藤環氏と私の「ひきこもり社会論」が掲載されています。▼次号より、往復書簡のような形で連載予定です。

雑誌『大航海』「特集 ニート 転換する現代文明」

ひどい。

「内田樹氏のエントリー「不快という貨幣」関連の言説は「俗流若者論」か?」(id:kwkt氏)

社会行為の凍結*1から遡って考えている私にとって、モチーフとしては重なるし、これから勉強を続けていきたいと思うのですが、現時点での疑問を以下にメモしてみます。 いいから、とりあえず人間は働いてみるもんだよ。(内田樹氏) どんな水準でも「労働」…

「自由をとるか、命をとるか」

《意味形成の権限》と《存在の無条件肯定》が排除しあうロジックは、雇用関係や社会保障でも貫徹しているように思う。 ▼「あれこれ意見したいなら、保護は諦めろ。保護されたいなら、黙ってろ」 ラカン『精神分析の四基本概念』pp.284-285より。 ヘーゲルを…

ジャック・ラカン「疎外の演算」*3

存在を取れば、意味形成の権限を失う。 意味形成の権限をとれば、存在として無条件に肯定される権限を奪われる。――繰り返し反復するこの事情を、ラカンの「疎外の演算(operation of alienation)」という議論が描き出している。 以下、『精神分析の四基本概…

「当事者役割」?

《当事者》という枠組みに関連し、あまりにも繰り返し反復されるモチーフがある。「存在」と「言葉」の緊張関係、あるいは相容れなさだ。▼当事者として、《存在》を全面受容してもらうことを求めれば、《言葉》を対等に扱ってもらうことはできない。また、言…

「いま、まよっている」(永冨奈津恵氏)

情報が首都圏限定だから、全国流通する商業出版にならないのは仕方ないとして、これだけ社会的意義があって、半年で1000部売れた本が、このまま絶版というのは・・・ というか、スタッフも赤字・・・? どうすればいいのだろう? どこかの自治体なり公共団体…

立岩真也×稲葉振一郎トークセッション「希望の国家論」

さまざまな動揺を経験できたのが最大の収穫。 アファニシスは「性欲脱失」と訳されているのを見たことがあるが、「問題脱失」という言葉を思いつく。 というか、そういう言葉でかろうじて支えた。 自分という場所が言説として構成されなくなってしまう不安。…

「フィールドワークの障害学:ふたつの〈当事者性〉をめぐって」

「ふたつの〈当事者性〉」というのは、「研究される側の当事者性」と「研究する側の当事者性」。 「フィールドワークの障害学」というのは最初意味が分からなかったが、その2つの当事者性が絡み合うことには「困難を抱えている」ということか。 私にとって…

「表象の不可能性を超えて」(野崎泰伸氏)

岡真理『記憶/物語 (思考のフロンティア)』からの引用とコメント欄のやり取りが刺激的で、長文の書き込み。 自分の部分を転載します。 当事者性にとっては、言葉で処理しきれない《過剰性》が問題なのだと思います。「何を言ってもいい」というのは、言って…

「そして人生はつづく」(栗原裕一郎氏)

人生は長いな。 何だってこんなに長いんだろう。 デフォルトで生きてるのが面倒くさい奴ってのもいるんだから 熱意を持つこと自体が逃避である可能性。 「非社会」という自分の症状に執着して社会化される矛盾。

「Social withdrawalについての幾つかの考察」(井出氏)

「ひきこもり」概念の歴史と概要について整理されている。 重要なポイントを確認しておきたい。 DSMの中には「社会的ひきこもり」の項目はない 私自身が混乱していた。 「ひきこもり」という言葉は斎藤環がDSMの翻訳語として採用する以前に広く一般に知れ渡…

井出草平(id:iDES)氏による解説

本田氏のblogコメント欄より。 「社会的ひきこもり」(Social withdrawal)とは、精神障害の診断マニュアルDSMに含まれる言葉ではありますが、統合失調症の一症状という理解は誤りです。DSMでは「社会的ひきこもり」はさまざまな精神障害に見られる症状として…

「名付け」再考

上記書き込みを行なった「ワタリ」氏は、みずからのblogに「フリーターが語る」と冠しているが、「名付け」ということにこだわるなら、これも再検討の余地があるかもしれない。【そもそも「フリーター」という言葉も、「ひきこもり」と同じく蔑称として機能…

せめて、対案を

「ひきこもり」という呼称は、当事者・親御さんサイドからも「ネガティブすぎる」と嫌われがちな言葉ではある。しかし、深刻な実態を名指す言葉を失えば、実態自身が忘却される【参照】。 ▼もし単語としての「ひきこもり」が不満なら、ぜひ対案を出してほし…

忘却と隠蔽

本田由紀(id:yukihonda)氏による「ひきこもり」という語の運用を批判する指摘(ワタリ氏)が、その批判そのものにおいて、さらに誤りを重ねている。 もう最近では学校や会社に行っていても、「心が引きこもっている」と他人を非難したり、自己にレッテルを…

「「ニート=怠け者」 乱暴なレッテル」(本田由紀氏)

記事を書いた石前浩之氏は、こちらのイベントで「熱すぎるお風呂」の発言を行なった方です。↓ いわばこの社会は≪熱すぎるお風呂≫みたいなもので、みんなかなり我慢して入っている。 引きこもりやニートのようにそこに「入ってこれない」人たちがいるなら、「…

3月1日発売『ビッグイシュー』第45号

「ひきこもり」特集の第2弾として*1、私と斎藤環氏の対談、田中俊英、工藤啓、林尚美の各氏インタビューなど、盛りだくさんの内容となっています。 販売はすべて立ち売りで、本屋さんには売っていません。【販売場所はこちら】 ぜひよろしく・・・ *1:第一…