形式的禁止と、作家的な試行錯誤

とてもじゃないが引き受けられない現実の生をそれでも引き受けようとする、その特異的な誠実さが文学や哲学だから、作家がポリコレを口実にするのは最悪の欺瞞であり、幼稚。定型的な点数稼ぎ*1は言葉の誠実さではない、むしろ逆。いっぽうで、形式的禁止は…

難しいがこのあたりでやるしかない

www.nhk.jp観ながら考えてたのは、自分としては《技法》という考え方を人類史的に位置づける努力をするしかないんじゃないか、ということ。ひきこもり状態やアルコール依存への取り組みなどからどうしても必要になって私が析出したのは、《技法》という考え…

《当事者・運動体・アカデミズム》と解釈権の独占

「当事者」という概念のまわりを考えるうえで大事な点に触れた、雁琳氏の論稿。note.com いくつか引用してみる(強調は引用者)。 具体的にどのような中傷と差別的発言であったかについては聊(いささ)かも検討されていない 所謂(いわゆる)〈弱者男性論〉…

家族を人質に取っている中国共産党

www.nhk.jp 見逃し配信:12/26(日) 午後10:09 まで 中国共産党が、国外にいる「中国人」の家族を人質に取ってスパイ活動を要求していることがNHKで映像付きで報じられた。これでもう「ウワサ」ではなくなった。ここでウイグル族がされていることは、将来の日…

排除の担い手による対話のススメ

心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―(新潮選書)作者:斎藤環,與那覇潤新潮社Amazon 斎藤環氏の新刊本を通読したのはもう10年ぶり以上になると思いますが、呆れてます。本書で説かれる役割固定云々は、彼が私を排斥することになった往復書簡で私が…

NHK「がんになった緩和ケア医」視聴

www.nhk.or.jp癌患者の終末期医療で緩和ケア医としてクリニックを開院した母(71歳)と、医師になってその志をつなぐ息子(45歳)。母親から院長職を継いだ翌年(2019年秋)、その息子さんに大きな肺がんと脳への転移が発覚し、余命2年と告げられた。NHKのス…

"Theory is physical":理論的理解は、時間的に展開される。

理論的理解には、記号という物理的な支えが必要。ということは、理論はこの物理的な支えの限界を超えては成立できない。「information is physical」というランダウアーの指摘は、理論そのものについても言える。つまり "Theory is physical"。理論的理解は…

真理は必ず無時間的であると勘違いした認識を、時間的な活動で位置づけなおす必要

時間についての考究そのものが無時間的認識を目指している奇妙さ。 私たちは、時間との関係において学問や主張が客体レベルにあることを忘れている。どんな学問も、時間的な条件付けの中でしかおのれを実現できない。学問的理解は、それ自体が認識の労働過程…

「時間を捨象した概念操作」と、「ナマの時間を生きる概念操作」

ようやく大事な点を整理できたと思うので、記しておく。私たちは、 (1)時間を捨象しておこなう概念操作 (2)ナマの時間を生きる概念操作 この2つを混同したまま混乱してる。たとえば数式や論理を扱うとき、私たちは時間を捨象してる。数学的な概念操作を…

「時間は自己を自己に関係づける否定性に等しい」

『経済学・哲学草稿 (岩波文庫 白 124-2)』p.223 より: したがって抽象的な思想家にとっては、自然全体は論理学的な諸抽象をただ感性的で外的な形式のなかで繰り返しているものにすぎない。彼は自然やこれらの〔論理学的な〕抽象をふたたび分析する。したが…

無時間的真実は、時間的にしか実現できない

時間の要因を捨象した関係式は、時間的に(労働過程として)実現せねばならない。ここを忘れた概念操作が支配的になっている。数学的真実は、言語を時間的に再生産しなければ実現しない。 つまり無時間的な関係式は、時間的にしか実現しない。「論じる自分は…

ETV特集「ドキュメント 精神科病院×新型コロナ」

www.nhk.jp 再放送 8月5日(木) 午前0:00 【見逃し配信】(配信期限:8月7日(土) 午後11:59 まで) 精神科病院への長期取材を通じて、取材スタッフも「これは単なるきれいごとではどうにもならない」と感じたんじゃないか――わずかなりともそう思わせる編集を…

時空間的ではない「意味内容」が時空間的に表現されるしかないことの工学

10代のころに読んで「いちばん考えたいのはこれだ」と思いながら、どこからどう手を付けてよいのか、何を専門にすればよいのかすら分からず、そのまま30年以上たってしまった文章がこれ。 ミハイル・バフチン『小説の時空間』pp.345-346 より 結びとして、も…

劉慈欣『三体』読了

三体Ⅲ 死神永生 下作者:劉 慈欣早川書房Amazonいまひとつ夢中になれないまま『III 死神永生』下巻の半ばまで来たんだけど、最後の最後に次々出てくるSF的なアイデアが本当に、本当に素晴らしかった。(以下すごいネタバレなので注意)

レポート 『不登校は終わらない』(3)

前回 technique.hateblo.jp ★目次 承前 メモ リンク集(一部) 資料: 『不登校は終わらない』書評: 承前 今回取り上げた諸問題については、今後も継続的に考えてゆきたいと思っています。*1 レポートの最後に、報告者である私の簡単な覚え書きと、リンク集…

レポート 『不登校は終わらない』(2)

前回 technique.hateblo.jp ★目次 承前 「ニーズの主体」と「主張の主体」 運動体のイデオロギーと、「当事者の声」 《存在》 と 《言葉》 「当事者」の主張責任 「弱者の声」と、抗議倫理 既存解釈と、そこからの脱落 「前衛党」と「反革命」? 解釈権の拮…

レポート 『不登校は終わらない』(1)

前回 technique.hateblo.jp ★目次 おことわり 前提 事実確認 要点 調査倫理について 疑問 ≪当事者≫について おことわり 貴戸理恵氏の著作『不登校は終わらない―「選択」の物語から“当事者”の語りへ』について、「見解」を発表した*1東京シューレ、及びそれに…

レポート 『不登校は終わらない』(0)

※【この記事は、2005年5月にエントリした文面をできるだけそのまま再録したものです。「はてなダイアリー」から「はてなブログ」への移転に伴って記法等が変わってしまい、そのままでは記事のまとまりすら保てなくなっていたため、まとめ直しました。デッド…

自分の紛争に向き合うことがカギになる

www.shinchosha.co.jp▼この小説には「廃人」という語が何度も出てくる。つまり8050状況に突入した人は「廃人」であって恐怖の対象であり、登場人物の全員が、ひきこもる青年までが「中高年のひきこもり事例」を見下している。▼人物描写や問題意識に厚みがな…

映画『TENET テネット』(ネタバレあり)

TENET テネット(字幕版)発売日: 2020/11/27メディア: Prime Videoいちど観ただけではほとんど何も分からず、考察ブログ等【参照1】【参照2】で調べたあとで、再視聴。ようやくあるていど理解した。

筒井康隆「川のほとり」

ジャックポット作者:筒井康隆発売日: 2021/02/17メディア: Kindle版紙の本で購入し、亡くなった息子さんを実名で扱った掌編「川のほとり」を通読。 この本の装画はその息子さん・筒井伸輔さんの作品らしい。私と同じ神戸にお住まいだったり、伸輔さんが私と…

「非局所性」という悩ましいテーマ

宇宙の果てまで離れていても、つながっている: 量子の非局所性から「空間のない最新宇宙像」へ作者:ジョージ・マッサー発売日: 2019/03/05メディア: 単行本なんとか最後まで通読したが、そこで抱いた感想は次の個所に近い(同書p.326、強調は引用者)。 ハン…

当事者概念をめぐる議論それ自体の、紛争性の高さ

治療は文化である―治癒と臨床の民族誌 (臨床心理学 増刊第12号)作者:発売日: 2020/08/18メディア: 雑誌磯野真穂「声と沈黙」を読みました。私が貴戸理恵氏と東京シューレの事案を扱って、もう15年以上が経ってしまいました。これはまさしく、【当事者/アカデ…

シナリオ通りの当事者と、関係性への加担責任

www.nhk.or.jp家族会の関係者から伺ったところによると、この番組での各人の発言には事前に用意された内容があったようで、「当事者にシナリオ通りのことを言ってもらった」ということのようですね。もちろん事前に話し合いはあったでしょうし番組の都合上そ…

孤立支援は政治・宗教など、生々しい思想の問題が避けられない

www3.nhk.or.jpwww.nhk-ondemand.jp 支援にかかわる方々が、なんとかして関係を築こうとする――しかし最も難しい問題が、「ご本人による支援の拒絶」だという。あるいは「居場所」が大事なのは確かでも、参加を続けるには、その場の関係がどういう発想で成り…

名詞に支配された、ダブスタの規範言説

ポリコレ系の言説は、名詞形のカテゴリ分けを議論の大前提とする。(「男」「女」「○○人」「LGBT」etc.)これはいわば、超越的で絶対不可侵の前提であって、そもそもそのカテゴリ分け自体が便宜上のものに過ぎないこと、また「カテゴリ以前に同じ人間だろう…

いまだに双方向的な課題設定ができていない引きこもり論

www.mag2.com「けっきょく悪いのは引きこもる奴ら」を落としどころにしても、そういう語りそのものが事態悪化に加担してしまう。 「引きこもり」は親が養ってくれるから安心して自宅にひきこもれるのだが、親は彼らが50代になったからと言って「いい加減に働…

私たちは《紐帯≒触媒》になれるか――『デス・ストランディング』

DEATH STRANDINGでは、手形(掌)が重要なアイコンとなります。掌を開くと、他人と繋ぐ事が出来ます。掌を閉じると、それは拳に変わり、他人を排除する事が出来ます。繋ぐ事と争う事は、表裏一体。人の掌も、‘棒“と”縄“に例える事が出来るのです。TOMORROW IS …

党派(人の集団の傾向性)が複数あること

知性や肩書がご自慢の人たちが、いかに党派的にものを見るか。そして、「自分とちがう意見」と見なした瞬間に、どれほど簡単に人事的排除を行なうか。社会参加や就労への支援を考えるなら、こういう面こそ取り組まないといけないはず。といっても、「党派的…

マイノリティを口実にした規範言説は、自分の話をしない

批評が、自分たちへの信用失墜を話題にできていない。*1 批評とそれをめぐる理論は、どうやら左派イデオロギーの下位にある。 「当事者」という語が乱発されるが、誰も自分の話をしない、できない。自己分析を核心テーマとするはずの精神分析でさえ。*2 「マ…