2004-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『sociologbook』さんの「041030」のエントリーに打たれました。 後日必ず触れるつもりなのですが、その議論の及ぶ射程や、関連して勉強すべき事柄も含め、いろんなかたにご意見・ご教示を賜りたいです…。

多元所属による、「排除ジレンマ」の解消?

一つの包摂は、必ず新しい排除を生んでいるはずです。 このジレンマについて、上記樋口論文では、「経済・社会・文化・政治」という「包摂の複層的メカニズム」が考察されており、さらに「多元的な包摂を考慮する必要が生まれつつある」とされています。 こ…

ヨーロッパの動き

樋口明彦氏の論文 「現代社会における社会的排除のメカニズム」 【PDFファイル】*1 より 1994年に開始された社会的排除に対する本格的な国際比較調査であるヨーロッパ共同体世帯パネル調査によって、【「社会的排除」という概念への*2】収斂傾向は大きく進展…

「社会的排除」

小沢修司氏 『福祉社会と社会保障改革―ベーシック・インカム構想の新地平』 p.142 より なかでも放置できないのは、安定雇用のない長期失業者たち(そこには多くの青年が含まれる)が労働市場から排除されるだけではなく、社会生活から次第に遠ざけられるこ…

「非社会」 

「青少年の非社会問題行動への対策について」(斎藤環) 他者や体制に対する攻撃性を持った「反社会」ではなく、他者や体制への志向性を失い、関係そのものが切れてしまう「非社会」。*1 「脱社会」も「非社会」も、対象の主観要因の濃厚な術語だと思います…

「脱社会的」

「脱社会的存在」の定義 : その尊厳を人間とのコミュニケーションの中に求めず、完全に他者と遮断された空間で尊厳を樹立しようとする存在。 その理由とは、自分が自分の中で培った「自己信頼」が高いにも関わらず、他者が自分を認めた上での「他者信頼」が…

 「社会的」

以下、太字・赤字強調はすべて私です。

ふう・・・

僕はすでに「ひきこもり」というテーマに関し、活動を始めている。 実名で本を出し、人とかかわり、そういえば揉め事めいたこともしている。 てことはすでに「無根拠に行動」してるわけか。 そういえば、今の状態につながる京都での共同生活に乗り出したのは…

≪根拠なき出会い≫

生への能動性を失った人間は、どうしても「天職」を求める ―― すなわち「行動を起こす前に、自分のモチベーションを準備したい」と考える。 考えて考えて、でもけっきょく動かない。 そのときに必要なのは、「考え抜いて自分の根拠を作る」ことではなく、「…

「戦わないでいる自由」、「死ぬしかない不自由」

「戦場」に欲望を見出せず、かつ「他の場所」も見出せないとき、前向きな能動性は死滅する。 「降りるしかできない不自由」に監禁される。 「自由の楽園」は、死後にしかなくなる。 「死ぬしかない不自由」から逃げられない。 この世界に取り組む(乗り続け…

「この世は戦場」

斎藤環氏がよく口にする≪去勢≫という精神分析の用語は、「一定の不自由をインストールすることで、限定的な自由を手に入れる」ということではなかったか。 「生き延びたい、でも≪労働=戦争≫はイヤ」はあり得ない。 それは幼児的な万能感の追求にすぎない。 …

「人権尊重」か、「人命尊重」か

保守派がひきこもりやニートに強制労働を課そうとするのは、「将来のことを考えもせず、お気楽な自由を謳歌している馬鹿者どもを、今のうちから生の世界に引き戻しておかねば」ということ。 しかし当事者は、今現在においてすでに「不自由」なのであり、強制…

「生きることから降りる」

僕が19歳のときに、「自殺とは降りることだ」と言った人がいた。 「生き延びる」こと、つまり「乗り続ける」ことが無条件かつ絶対的ならば、「健康体の安楽死」(敵前逃亡、あるいは脱走兵?)に税金を使えるわけがない。 「誰かが生き延びる」(戦地に残…

積極的選択なのか、受動的脱落なのか*5

人生に対する能動性が当たり前の人は、ひきこもっている人が「閉じこもる」のがひたすら快楽的に見えるのだろう。 つまりそれは「自由の行使」に見えている。*1 生きることへの能動性を失っている人にとっては、閉じこもるのは「自己防衛」でしかない。 戦場…

今日のエントリー全体を通してのテーマ

僕がここ最近、「能動性と受動性」、「自発と強制」 などと言って考えていた話が、そのまま 「自由と不自由」 に重なる事に気付いて、だいぶわかりやすくなった。*1 ひきこもり当事者は、 「閉じこもる自由」を求めるとともに、 → すなわち、 【降りられない…

 「降りる自由」、「乗れない不自由」

気のせい?

これまで、私に本当に本質的な心理的支援を与えてくださったかたの多くが、なぜか被差別部落の問題に関わっておられます…。 最近、さんざん「ひきこもりを放置すれば高齢化し、死者が続出する」と言い続けている私ですが、「ひょっとしたら、大丈夫かもしれ…

切実

「自分の身には、引きこもりは起こらない」と信じ込んでいる人には、≪明日は我が身≫という言葉は、届かないのでしょう。

選択肢

社会に入れない人間に出会ったとき、相手を 締め付けて追い詰めることで観念させ、回収しようとする 対話的に解きほぐし、相互的に脱落現象を回避する*1 この2通りがある。 *1:essa さんの「社会を切っていいんかい?」を思い出します。

しかし、

私が危惧するのは、次のようなことです。 現状では、「ひきこもり当事者に犯罪が多い」というのは、―― 統計的に―― 明らかな偏見です。 1988年の連続幼女殺人事件により、かつて「犯罪者予備軍」のように見られた「オタク」のひとたちは、しかしその旺盛な経…

事件は、差別感情の口実ネタ。

今回の事件であらためて思ったのですが、差別や排除の意識というのは、「事件ゆえに形成される」というよりも、「もともと潜在的にあった差別感情が、事件を口実に結晶化する」*1と言ったほうが正確ではないでしょうか。 これに似た事情は、ジジェクが「ユダ…

「悪意に満ちたサンプリング」?

みなさんのうちの多くが、すでに「ニート君」 *1のことをご存知だと思います。 私は多くの引きこもり当事者を目撃していますが、ここまで極端な事例には出会ったことがありません。 むしろみんな、憔悴しきっている。 サンプリングそのものに、マスコミの悪…

「1000人にひとり」なのに・・・

マスコミ報道の奇妙さについては、こちらの 「PREVIEW」 で拝見した宮台真司氏の発言が印象的でした。 次のような内容です*1。 昨年度の自殺者3万4000人あまりのうち、「ネット心中」は34人*2。 つまりマスコミは、1000人に1人しか選ばない自殺方法につ…

犯罪発生率 (人口10万人あたりの発生件数)

「犯罪者予備軍」というイメージに反し、「ひきこもり状態」は、現状では個人の犯罪加担率を下げている*1。 具体的に統計値で見てみる。 殺人 「犯罪白書」の資料によると、平成14年度の殺人の認知件数は1396件、発生率は 1.1。 ひきこもり当事者が…

ひきこもりの当事者・経験者・ご家族・支援者など、関係者の皆さんへ

今後も、この事件について取材を受けるかもしれません(昨日の記者の方からは、必ずあらためてご連絡いただける予定です)。 そこで、 「こういうことを記者に話してほしい」 「こういうコメントは駄目だ」 「私はこう思う」 「私も取材を受けて構わない」 …

取材

20年引きこもりの男が両親を殺害 ( → 参照)*1 【2005年2月追記 : 上記はいずれもリンク切れなので、別記事をご参照ください。(参照1)、(参照2)】 26日の夕方6時〜10時*2、この事件に関連し、ある新聞社のインタビュー取材を受けてきました。 …

件名 : NOLAの佐藤でーす。 (送信日時 : 2004年10月20日 16:47:58)

この前の育て上げネットはお疲れ様でした。 上山君の現役ひきこもり意見VS俺のような現場の人間の意見、みたいな掛け合いは聞く側にとっては結構面白くて反応がよかったんじゃないかな? で、上山君がはてなダイアリーと言うところにこの前の育て上げネット…

 佐藤透氏からの反論

18日のエントリーについて、当の佐藤透氏(「NOLA」代表)より、メールを頂きました。 「ひきこもり支援にとっての≪強制≫という契機」は、生半(なまなか)には扱えない重要な論点だと思います(単に否定すればいいとも思えない)。 それ以外にも重要なお話…

僕と同い年

両親殺害容疑で36歳長男逮捕 20年間引きこもり の件だが、「自分も死のうと睡眠薬を飲んだが死にきれなかった」と供述しているらしい。 無理心中を図ったということか… しかし翌日には、「殺害直前、親とトラブルか」という記事も出ている。 どうも、報…

不信感の2乗?

税金を使った「若者への就労支援」に風当たりが強いのには、こういう事実も関係していると思われる*1。 厚生労働省の特殊法人「雇用・能力開発機構」(横浜市)*2が、雇用保険料から約4498億円もの巨費をぶち込んで建設した全国2070カ所の保養施設な…