癌患者の終末期医療で緩和ケア医としてクリニックを開院した母(71歳)と、医師になってその志をつなぐ息子(45歳)。母親から院長職を継いだ翌年(2019年秋)、その息子さんに大きな肺がんと脳への転移が発覚し、余命2年と告げられた。NHKのスタッフは2020年10月から取材に入ったが、今年2021年12月ですでに余命宣告から2年が過ぎている。
《当事者》という語にかかわる状況として、食い入るように観た。*1
私の地元神戸の話で、方言のせいもあって会話がすごく刺さる。
終末期の癌を抱えながら、本当に人の役に立っておられる…
医師としての地位と職能を得たうえで、命にかかわる病気の当事者であること。逆に言うと、資格も職能もないまま、命にかかわる病気でもなく、いわば単なる挫折者として「当事者」を名乗ることとの違い。
私は《当事者》という語の周辺にある腐敗に心底ウンザリしてるんだけど*2――死を前提にして言葉を紡ぐ関本さん親子の様子に触れ、仕切り直しのヒントをいただいた。そして関本剛さんは私よりずっと若い…。
★2022年9月11日の追記
2022年4月に逝去されたとのこと。
映像で拝見しただけですが、「こういう人にこそ長生きしてほしいのに」と思わずにいられませんでした。
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葬儀で流された、ご自身による挨拶の動画(2020年10月10日収録):