ETV特集「ドキュメント 精神科病院×新型コロナ」

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  • 再放送 8月5日(木) 午前0:00
  • 見逃し配信(配信期限:8月7日(土) 午後11:59 まで)



精神科病院への長期取材を通じて、取材スタッフも「これは単なるきれいごとではどうにもならない」と感じたんじゃないか――わずかなりともそう思わせる編集を感じた。


動画50分15秒~

医師A:患者さんたちが犠牲なんですよね。そこにひずみが行っちゃってるっていうことだと思うんですよね。
医師B:そう、そうなんだけどすごく微妙な問題なので…。だけど精神科の病院が倒産していって患者さんが放り出されて、世の中はそれを受け入れる…素地がないわけだから。その辺の塩梅を見ながらやっていかないと。あの、気持ちはよく分かる。

医師Bは東京都立松沢病院の院長だった齋藤正彦氏。




動画38分2秒~、精神保健福祉士の女性の発言:

 こういう病院〔精神科病院〕がなくなったら、あの人たちの居場所は本当になくなるなって思う〔…〕何かあったときに家族に押しつけられるでしょ、みたいな〔…〕精神病院にもいられなくて地域にもいられないってなったら、もう「見えないところに行ってください」って話になっちゃうじゃない。それはちょっとなぁ…。だから必要悪なの?…もう分からなくなってくるよね…

私は少し前から、精神科病院を撤廃したイタリアや、「場所を治す」という発想のフランスの精神科医療に興味を寄せてきたし、今もその動向は気になっていますが――人と人が支え合う環境を、理想論だけで描くことはできない。




日本精神科病院協会*1会長・山崎學氏(動画31分23秒~):

 精神科医療っていうのはね――僕はよく話をするんですけれども、医療を提供しているだけじゃなくて、社会の秩序を担保してるんですよ。町で暴れてる人とか、そういう人を全部ちゃんと引き受けているので。医療と社会秩序を両方 精神科医療に任せておいて、この(診療報酬)点数なんですか?〔安すぎる〕と言ってるわけ。一般医療は医療するだけじゃないですか。こっちは保安までも全部やってるわけでしょ、精神科医療って。(入院を)断わってたらどこもとらないし、いちばん困るのは警察だと思うよ。警察と保健所が困るだけだよね。

この発言を単に「けしからん」と言う人は、実際の状況をどのていど知ってるんだろうか。