2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

公正と無意識

無意識の奇矯さに執着する人は、しかし社会的な正しさが問題になると凡庸な正論を言うことがある。 夢の話に夢中になったあとで、「でもひきこもりは最低」。 逆に、社会的な公正さを徹底する人は、無意識という独特の自己解体のロジックを問題にしてくれる…

「第3回 サポートセンターKOAHセミナー」

2月12日(月)、ひきこもりサポートセンター「KOAH 」(コア)さんのお招きで、「情報センターISIS 神戸」の森下一徹氏とパネラー出演。 もうお一人、スタッフの女性の方にも「子供の立場から語っていただく」ということで、討論にご参加いただいた(私の希…

雑誌『ビッグイシュー』 第66号 発売中

斎藤環さんと私の往復書簡 「和樹と環のひきこもり社会論」、 今号は斎藤さんで、『「でもやるんだよ!」』です。 ■特集 “自死”は防げる――自殺させない社会へ 日本の自殺者は1997年を境に急増し、8年間続けて3万人をこえた。 日本の自殺率は世界では10位、主…

「日本の子供は先進国でずば抜けて「孤独」」 【はてブ】

「30歳になった時、どんな仕事についていると思いますか」との質問に対しては、「非熟練労働への従事」と答えた日本の15歳の割合は、25か国中最高の50・3%に達した。

「都、新年度から実態調査 ひきこもり対策に本腰」(東京新聞)

新年度予算案に調査費三千五百万円を計上した。 ひきこもりという表面化しにくい調査対象ゆえに、質問項目の設定や回収方法に工夫が必要とされ、社会学や精神医学などの有識者を交えて検討する。 ひきこもり対策をめぐって、都はこれまでに就労支援のほか、…

商品としての臓器

「フィリピンで臓器売買合法化の動き」(Slashdotジャパン) 「臓器売買 傷と借金だけ残った」(西日本新聞) 「最近、売り値は十五万―二十万ペソに上がったらしい。売り急いだんだろうか」 「臓器移植、来月から外国人困難に 死刑執行減少、国内向けを優先…

文学という大義名分が、どうして勇ましいナルシシズム(独りよがり)を許すか。 ナルシシズムの制度に承認された勇ましさは、本当の私秘性を語らない。 しかし、本当に生産された私秘性は、結果的に制度を補強する。 補強された制度に後になって依拠したとこ…

エリート・再帰性・症候

日本経済新聞 2月8日付 「ニッポンの教育」より 司法研修所に十四年間在籍した加藤新太郎新潟地方裁判所長(56)は、“受験勝ち組”の気質の変化を肌で感じる。 (1)試験に必要なことだけを予備校で要領よく学ぶ効率型学習の弊害 (2)公的な職業に就く…

「お前は異常だ」から 内発的個人化へ

ひきこもりの問題にこのように膨大な言葉への情熱を持つことは、私にとって症候的なものであり、倫理的な契機にあたる。 最近あらためて、「カウンセリング理論」や「DSM」の見地から、その熱意こそが治療されるべきであり、私の言葉には価値がない、むしろ…

「切断操作的・差別的対象化」と、「関与創造的・分析的当事者語り」

「物象化を拒否する自分自身」をフェティッシュに愛するナルシストは、人や事件のすべてを「自分は物象化していない」というアリバイとして利用する(=物象化する)。 メタ語りを独占して誇示したがる左翼活動家にありがち。 誰かに対して自己の対象化(当…

「あの人は○○だ」というカテゴリー化について

「カテゴリー差別と嫌悪感」にいただいたコメント(ありがとうございます)より。 id:shinimai 言語の根元的な暴力性を考慮するなら、モテ男という表象もまた問題ではないのか? 「モテ男」というカテゴリーをもとに、差別的に振る舞うことは可能だと思いま…

20年前の 当時通っていた高校のグラウンドにタイムスリップ なぜか赤黒い制服姿の あのときのクラスメイト ・・・僕もいる 18歳の僕が けげんそうな顔で 38歳の僕を見ている (なんでこんなおっさんがここにいるんだよ?) 「こいつのこれからの20年間は、・…

大切な時間

デカルトがどこかで、次のように書いていた(大意)。 よい着想がもっとも豊かに湧いてくるのは、 目が覚めてからベッドを出るまでの間だ。 言われてみればそうなので、これを読んで以来、 意識的にその時間を大切にするようになった。 フロイトにも関係する…

カテゴリー差別と嫌悪感

非モテ系の人間が差別されても、それは「当然だ」と流されてしまい、ほかの差別のように取り合ってはもらえない。 ▼見下されたために過剰な非難を浴び、しかしそれは分かりやすい「差別」とは見えないため、集団で嘲笑されるままになる。 差別は、分かりやす…

議論の雛形と宿題

著者のお二人が試みたのは、ものすごく独特の「当事者語り」に見える。 個人的な体験や執着心が理論的な話と往復し、議論の強度を生んでいる。 「こんなふうに感じる自分はどんな場所に住んでいるのか、これからどうなってゆくのか――どうするつもりなのか」…

「家族、積みすぎた方舟 P288〜293」

sava95 さんによる抜き書き。 家族が家族である必要をもちつづけるのは、それが依存的な存在をかかえこむからではないのか? 家族は「性的な絆」であるよりはもっと、「ケアする絆」ではないのか? (略) 「子ども」とは「病人、高齢者、障害者など」のすべ…

「リベラリズム的」(北田暁大)

ものすごく濃縮された説明的メモ。 「リベラリズム」という言葉はいろんな意味で使われるのですが、 (1) 「善にたいする正の優先」を掲げる規範理論(哲学)としてのリベラリズム (2) (第二波以降の)フェミニストが批判してきた(理念型的?)「近代自由主…

第V章は、これからくり返し読書や議論のガイドにすると思う。

少し引用。(p.252-5) (『家族、積みすぎた方舟』の著者マーサ・ファインマンは、) 親密圏としての家族を徹底的に脱構築しつつ、ケアの与え手と依存者との関係性の場、養育単位としての家族というものを再構築しようとしている。 (中略) リベラリズムと…

『東京から考える 格差・郊外・ナショナリズム (NHKブックス)』

重要な読書体験でした。 ひきこもりに興味があって、東京そのものにほとんど興味がない私は*1、地名等を適当に読み飛ばしつつ、 p.46 ヴァーチャルな地元意識 p.51 「ニート的」環境をめぐる議論 p.208 職能集団の街 p.222 もはや「危険な街」は存在しない p…

 事実、権利、症候

縦軸と横軸

番組終盤に、次のようなやり取りがある(大意)。 聴取者メール(ウツボスキーさん)より: 進むべき目標のようなものを「縦軸」とするなら、その縦軸がなくなって、人間関係など「横軸」ばかり見ているような気がします。 息苦しいったらありゃしない。 本…

TBS 文化系トークラジオ 『Life』*1 1月27日 「『働く』ということ」

生放送分+終了後の「外伝」が、podcasting で聴けます。 「Part5(外伝2)」*1冒頭で、私の投稿メールを読んでくださっています*2。 私にとっては長期的な論点なので、以下にその文面をアップします。 「働くうえで、いま最も必要とされていること」*3です…

生活圏の政治

どんな人間関係を維持するのであれ、その場に特有の「力関係」に苦しむことになる。 この問題から逃げられる人間集団はない。 ひきこもり系の人間は、どこにいても、自分を政治的に成り立たせることに失敗する(家の中であっても)。 ひきこもりの社会復帰支…

中島敦 『山月記』

トークラジオ『Life』プロデューサー長谷川氏が、引用しておられた部分。(一部現代的表記に改めました) 人間であった時、俺は努めて人との交わりを避けた。人々は俺を倨傲だ、尊大だといった。実は、それがほとんど羞恥心に近いものであることを、人々は知…

中島敦 『李陵』

我を忘れ壁に頭を打ちつけて血を流したその数回を除けば、彼は自らを殺そうと試みなかった。死にたかった。死ねたらどんなによかろう。それよりも数等恐ろしい恥辱が追立てるのだから死をおそれる気持は全然なかった。なぜ死ねなかったのか? 獄舎の中に、自…

雑誌『ビッグイシュー』 第65号 発売中

斎藤環さんと私の往復書簡 「和樹と環のひきこもり社会論」、 今号は私で、『逃げられない動機づけ』です。 本屋さんでは売っておらず、すべて立ち売りです。 販売場所はこちら。 各販売員は、バックナンバーも大量に取り揃えて立っておられます。 ▼ひきこも…

「症候を自分で決めることはできない」

「消費としての労働」という仲俣暁生氏のエントリーが、話題になっている。 ラジオの番組のなかで本田さんが、柳瀬さんの「なんでもいいからとにかく働け、働いてみないと、働くことがどういうことかなんてわからない」という発言に対して、「回転寿司を食べ…