「第3回 サポートセンターKOAHセミナー」

2月12日(月)、ひきこもりサポートセンター「KOAH 」(コア)さんのお招きで、「情報センターISIS 神戸」の森下一徹氏とパネラー出演。 もうお一人、スタッフの女性の方にも「子供の立場から語っていただく」ということで、討論にご参加いただいた(私の希望で)。
私からは、大まかに以下のような発言。

  • ひきこもりとは、極端な交渉弱者。 人が交渉弱者に追い込まれる理由はいろいろあるが、病気でも障害でもないため、社会的に位置づけにくい*1。 「交渉弱者」という独特のテーマ設定が要るのではないか。
  • 仕事をしている人にとって家に居るのは「オフ」だから、どうしても「ひきこもりは24時間オフなんだろう」と想像してしまう。 しかしひきこもり状態では、社会的に承認される「オン」の時間がまったくないため、安心してオフになれる時間もなくなってしまう。 →「24時間オン」。 ▼親子間で会話がすれ違う決定的ポイントはここにある。
  • 親密圏であっても、「公正さ」という発想が要る*2。 それゆえの「交渉」。 親だからといって一方的に我慢するのはおかしい。 ▼下心のある二重のメッセージではなく、本気かつオリジナルのメッセージを語ってほしい。 「養ってやってるのになぁ」などの嫌味な発言は、いろんな意味で悪影響しかない。
  • 親は社会生活のプロ。 ひきこもっている本人との交渉関係といっても、「弁護士と幼稚園児の交渉」のようなものであり、ハンディが要る。 親に口をきかないのは、交渉弱者としての最後の手段。
  • 働いても生活保護以下の収入しか得られないワーキングプアなど、生きていくための環境は非常に深刻。 ひきこもっている人が無理やり社会復帰しても、単に「最弱の交渉者」であり、生きていけない。 何らかの中間集団にかかわる必要がある。

「からっぽで、バラバラ」という、人を交渉弱者にする実存的要因*3についてはまったく触れられなかった。 (「症候を生きる」という指針はそちらの話)