商品としての臓器

 「最近、売り値は十五万―二十万ペソに上がったらしい。売り急いだんだろうか」


 ドナー(臓器提供者)の大半を占めてきた死刑囚が大幅に減少するほか、経済的に豊かになった国内患者への移植の急増も背景にある。


 腎臓の売買は、いわばビッグビジネスになっている。 統計資料はない(移植自体についてすらない)が、諸種の調査結果から推計して、数千例から数万例に達するものと思われる。 数としては、フィリピンなどの比ではない。 あくまで推測に過ぎないが、世界中の腎臓売買の7割以上をインドが占めるのではないかと思われる。