2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「問題の支配」=「論者の支配」?

「他の人々を支配しようという欲求は、自己の部分を支配しようとするゆがんだ欲動として、ある程度説明できるだろう。他の人びとの中にこれらの部分が過剰に投影されると、投影された部分はその人びとを支配することによってのみ支配されうる」(『メラニー…

「非社会」と精神主義

不安を煽るようなVTRの後で、「それではどうしたらよいか」というトピックに入ると、発言者たちは自分の「いっしょうけんめい」を披露します。制作側は彼らの語りに続けて、美談エピソードをはめ込みます。そして、この傑出した人たちのように「いっしょうけ…

疑問の焦点

さて、これまで述べてきたリベラリズムの主張は、なぜか「きずなをバラバラにするものだ」といった誤解を受けやすいものです。 こういう誤解は、「きずな」なるものを単数で、しかも宿命的なものとしてイメージすることから来ています。「たとえ屈従的なきず…

『「ニート」って言うな! (光文社新書)』内藤パートより

「教育の職業的意義」の向上を徹底して訴えた本田パートに対し、内藤朝雄氏は次のように主張する。 全体主義とは、教育が社会を埋め尽くす事態をいうのではないでしょうか。(p.114) 提供されるべきは、教育ではなく、ライフチャンス(とセーフティ・ネット…

『「ニート」って言うな!』について (5)へ

宮崎哲弥氏:「ミヤザキ学習帳」(via id:yukihonda氏)

立ち読みしてきた。 四象限を描き、様々なニート関連本の主張を座標平面上に配置している。 縦軸を《ニートの原因》軸として「経済−精神(家庭)」、横軸を《ニートへの評価》軸として「ポジティヴ−ネガティヴ」*1。 宮崎氏は以前、ニート対策として「ニート…

「笑顔」か「就労」か――《動機付け》について

「人間力」への抵抗など、本田由紀氏は「若者の心に触ってはならない」という一貫した姿勢を持っておられ、このことをまず最大限に尊重・支持したい。だがこれは逆に言えば、ひきこもり系の就労問題において最も難しいとされる《動機付け》――教育・雇用の機会…

「働こうと思えば働ける」という制度的環境整備と、「働かなくても蔑視されない」という規範的環境整備

「教育の職業的意義」(本田由紀氏)を高め、制度的排除の撤廃へ向けた合理的努力を推進することは、ぜひとも必要だ。しかしそれは同時に、「職業的に社会参加すべきである」という規範のための環境を整備することでもある。▼たとえば「男女共同参画社会」は…

『「ニート」って言うな! (光文社新書)』本田パート、p.81 「図c」

これは、以前当blogで扱った「何度脱落しても、自由に再復帰できる社会」*1というモチーフを、教育との関係で図式化したものだと思う。 ▼正規雇用と非正規雇用の「移動障壁の撤廃」という面からも、新卒以外の採用を含む「年齢差別の撤廃」という面からも、…

『「ニート」って言うな!』について (4)へ

「ひきこもり」との関係における功罪いくつか

言説環境の変化 かつてのひきこもり業界においては、労働規範を強要する「説教」があまりに有害であるため、そもそも「就労」を話題にすること自体がタブー視されていた。しかし「ニート」の流行により、就労をも視野に入れた議論の雰囲気が当たり前になった…

政治(予算)

「ひきこもり型ニート」はたしかに「ごく一部」(本田氏)かもしれないが、逆に言えば、大々的な言説戦略がなければ、そのような存在はずっと政策課題になり得ず、「ペット以下」と呼ばれて終わっていたのではないか。▼そもそも、「ひきこもり型ニート」とさ…

現場

内藤朝雄氏が槍玉に挙げた「育て上げネット」理事長・工藤啓氏による、『「ニート」って言うな!』評: どうしても現場にいないひとたちなので、批判っぽくなるし ニートだろうが、何だろうが実際に目の前にいるひとをどうするのか っていう具体策はない。 確…

「支援業界」の外にとっての「ニート」運用益?

それを探る試みとして、たとえば『ユリイカ』2月号「特集・ニート」。 「直接的支援」であるがゆえに、支援たりえない支援というものもあるのではないか。

「ニート」という単語について、「功」と「罪」をあらためて検討するべきではないか。

『分岐点に立つひきこもり』(p.19-20)、樋口明彦氏: そんなに単純によその国の概念を持ってきていいのかと、まず思いました。それに、「ニート」自体、曖昧な言葉で、概念としてあまり良くないとも感じました。 他方で、実践者としては、また違う印象を持…

「言説」「実態」「具体案」のそれぞれの吟味は、分けて考える必要がある。

『「ニート」って言うな! (光文社新書)』の中心事業は、あくまで「歪んだ言説の吟味」(それ自体はきわめて重要な仕事)*1にある。 一方的な偏見がなくなることは、苦しみを大いに軽減させる。しかし、それは問題のすべてではない。 ▼内藤朝雄(id:suuuuhi)…

『「ニート」って言うな! (光文社新書)』について

chiki(id:seijotcp)さん、井出草平(id:iDES)さんと読書会チャットを行い(1月末)、多くを学んだ*1。 この本自体は、ゆがんだ言説の横行に対する重要なカウンターであり、ぜひとも流通してほしい。 ▼私としては、「ひきこもり」に固執する立場から批判的…

『「ニート」って言うな!』について (3)へ

「正確な実態把握の上での対策」

私は、「ニート」が話題になるずいぶん前(2000年)、あまりの「心理主義・医療主義」の横行へのカウンターとして、「引きこもりは結局は労働問題だ」と書いたのだが、「就労」ばかりが語られる現在から見れば、逆に「ひきこもりは、就労問題の枠組みから大…

「ひきこもり」=「富裕層」?

本田氏は、昨年11月22日(『「ニート」って言うな! (光文社新書)』脱稿と同時期*1)、関西大学での講演会において、ひきこもりは「富裕層においてのみ可能」という趣旨の発言をしている。▼「働かない子供を扶養できているではないか」ということだろうが、富…

『「ニート」って言うな! (光文社新書)』本田パート(p.50)より。(強調は引用者)

若い人たち自身に聞いてみても、「フリーター」に関しては共感を持っていても、「ニート」に対しては「ペット以下だ」というような言い方――これはある女子高生の言葉です*1――で、きわめて軽蔑し嫌悪するような感覚をもっている場合が珍しくないようです。そ…

本田由紀氏の「ひきこもり」理解について

いくつかのTBでの指摘(私のエントリーを含む*1)について、本田氏が「ひきこもり」に特化した言及をされている。 『「ニート」って言うな! (光文社新書)』においては*2、本田氏のみが「ひきこもり」に突っ込んだ言及をしているために、内藤朝雄氏・後藤和智…

『「ニート」って言うな!』について (2)へ

「社会的所属」を判断基準とする《ニート》と、所属とは関係なく「状態像」を基準とする《ひきこもり》は、操作概念として別ではないか。

私は当ブログや公的原稿で、ひきこもりは「ニートの最深刻層」と書いてきた。 これについては、当blogへのTBのほか、私の知る限り*1、以下のお二人が触れてくださっている。 以下、お詫びして訂正しなければならない(ごめんなさい・・・)。 『ユリイカ』2…

ロジックが観やすくなったか・・・

「待ち組」(id:roumuyaさん) 「待ち組」は、フリーターやニートなど「挑戦しないで様子をうかがう人」を意味する造語。猪口氏は1月31日の記者会見で、「『負け組』は立派だ。その人たちは戦ったのだから。本当に反省すべきは『待ち組』だ」と述べて、フリ…

『ハッシュ!』

「当事者発言」は 「消えたほうがいい」との葛藤 このタイミングで観れたのがすごい 薦めてくれた友人に感謝

知人に聞いた話

「癒し」の放棄 求めないことでかえって楽になる 「関係性としてのアイデンティティ」 アイデンティティを「所有」と考えるとつらくなるけど、「関係」と考えるとラク 僕なら「過剰性」と表現していたところ 「ひきこもりは社会的でない存在か?」 「社交的…

 夢想

宮崎駿の作品中に、「働いておらず、家族以外と10年以上口をきいていない35歳の男」が出てきたら、どんな人物描写になるだろう。

中野昌宏氏:「「否定神学」批判の陥穽」(PDF)

以前読んだときにはよく分からなかったが、あるいきさつで再度気になり、WORDにコピペして熱心に熟読。

「騙されてもかまわない」と思えなければ、社会になんて出ていけない。 「騙してもかまわない」と思えなければ、仕事なんてできない。 不確実さと付き合い続ける根拠には、信仰の構造がある。