政治(予算)

「ひきこもり型ニート」はたしかに「ごく一部」(本田氏)かもしれないが、逆に言えば、大々的な言説戦略がなければ、そのような存在はずっと政策課題になり得ず、「ペット以下」と呼ばれて終わっていたのではないか。▼そもそも、「ひきこもり型ニート」とされる「非希望型」が40万人余りで数値変動がないとして、しかしその層に対する目の前の政策案は、『「ニート」って言うな! (光文社新書)』ではわずかしか示されていない*1
2000年前後に不幸な形で一般に認知されて以降*2、「ひきこもり」にはついに固有の予算がつかなかった。 しかし「ニート」の枠組みには予算がついたことから、民間支援団体等はその枠組みを活用する努力をしているわけだが*3、それすらも「ニート利権」(本田氏p.57)と言われてしまうなら、「ひきこもり」業界はどうすればよいのか。 ▼策もないところに「お金さえあればいい」とは思わないし、安易な矯正案や無手勝流が乱立する現状には私も疑問がある。 しかし、お金がなくては取り組み自体が潰れてゆく。【すでに横浜では、ひきこもり支援団体への助成金が打ち切られ、精神保健福祉センターデイケア活動が閉鎖されてしまった。】

    • しかし、「ニート」(それも言説吟味)を主題とした本書に「ひきこもり支援」の記述を過剰に求めることは、「ないものねだり」かもしれない。




*1:p.66-7に、本田氏はかなり積極的な「ひきこもり支援」案を出されている。 内藤氏の「自由な社会」案も含め、またあらためて考えてみたい。

*2:厚労省のガイドラインは2001年が最初。 それ以前には、行政にも認知されておらず、相談に行っても「門前払い」が普通だった。

*3:しかし多くが赤字や持ち出しだと聞いている