2011-01-01から1年間の記事一覧

雑誌『ビッグイシュー』 第175号  特集:「ひきこもり」からの帰還

≪見開きページの立ち読み≫ 現在、家で「ひきこもり」状態にある人は70万人。彼らの平均年齢は今や30歳半ばを超え、40代半ばを過ぎた「ひきこもり第一世代」も10万人以上にのぼるといわれる。彼らは家族によって支えられているため、その存在は見えず、路上に…

日仏哲学会 2011年秋季研究大会 メモ

「2011年秋季研究大会および2011年春季研究大会の代替大会のお知らせ」 10日の C 会場(ドゥルーズ関連)と、午後からのシンポジウム「ガタリの哲学」を聴講*1。 日時: 2011年9月10日(土) 会場: 大阪大学・豊中キャンパス・文系総合研究棟(豊中総合学館…

言葉や事物の配置、オイコノミア

「組立、配置、エコノミー、arrangement」(togetter) 細かく読みこんだり周辺を調べたりしながら、静かに興奮していた。 これまで、思想や芸術がどうとか、精神医療がどうとか、 バラバラに読み散らしてきたことが、次のつぶやきで繋がった。 柳澤田実編『…

「ふつうの精神病」の周辺

ジャック=アラン・ミレール*1による、「ふつうの精神病(psychose ordinaire)」という議論をめぐって。*2 座談会 「来るべき精神分析のために」 十川幸司×原和之×立木康介 (『思想 2010年 06月号 [雑誌]』pp.8-59)*3 立木康介氏の発言(pp.9-11)より: …

ネット上の努力の、公的な地位は?

当ブログでは2009年春ごろから、《つながりの作法》という、日本語としてはやや奇異なフレーズを育てていました(参照)。 いわば問題意識のキャッチコピーであり、当時はこれでネット検索をかけると、このブログしかヒットしない状態でした*1。 そこに、以…

「つながりの作法」

拙ブログにおける、時系列の大まかな履歴です*1。 http://d.hatena.ne.jp/ueyamakzk/20090430/p2 臨床家や社会学者は「仲間が大事だ」というが、コミュニティ(つながり)の作法が提案されていない。 つながりの作法を旧来型に放置して、ベタに “つながり” …

超自我を受け入れるスタイル(制度順応のありかた)

制度論の研究を続けていて、理解と興味が飛躍した瞬間が何度かありました。 その一つが、以下の箇所を解読したときです。 ここは、《制度に順応する》ということが、反抗的なイデオロギーによってというより、症候的な反応によってできなくなっている状態を…

芸術活動と医療行為

「精神の運動失調」という拙エントリにある、 患者さんの主観性や周囲との関係性、あるいは臨床の場が、固まってしまってはいけない という指摘ついて、画家・永瀬恭一氏からコメントをいただきました。 @nagasek 無論「患者」を美術家・鑑賞者・批評家に代…

精神の運動失調

ジャン・ウリの講演「構造分析とメタ心理学(Analyse structurale et métapsychologie)」(PDF、2009年)より拙訳: Ou alors, comme le disait Erwin Stransky , un rival de Bleuler... あるいはそうですね、ブロイラーのライバル、エルヴィン・ストラン…

「やらなければいけないことは、手の届かないところにある」と自分が感じていること

衆議院 厚生労働委員会 参考人説明より 児玉龍彦氏*1 【7月31日夜の追記】: 下の動画は、「YouTubeの利用規約に違反したため削除された」とのこと。 同じ動画は、「衆議院TV 2011年7月27日(水)」にある、「説明・質疑者等(発言順):」⇒「児玉龍彦(10時00…

べつの時間軸を繰り込む技法

柄谷行人による、『災害ユートピア』書評より: 国家による秩序がある間他人を恐れて暮らしていた人たちは、秩序がなくなったとたん、たちまち別の自生的な“秩序”を見いだす。それは、他人とつながりたい、他人を助けたいという欲望がエゴイズムの欲望より深…

公開されているガタリの原文

以下のフランス語原文(PDFファイル)は、 邦訳『フェリックス・ガタリの思想圏―“横断性”から“カオスモーズ”へ』に掲載されている文章のうち、初出が雑誌『シメール(Chimères)』だったもの。 ほかにもいろいろ公開されています(参照)。 ■「音楽創造にお…

場所を再生する分析

≪分析のスタイルとは、「意識のまとめ方」≫からのつづき 「分析的 - 詩的機能(fonction analytico-poétique)」 と 《新生自己 emergent self》*1 に関連して、 グァタリがほかの場所でも語っている。 フェリックス・ガタリの思想圏―“横断性”から“カオスモ…

分析のスタイルとは、「意識のまとめ方」

カオスモーズ作者: F・ガタリ,宮林寛,小沢秋広出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2004/01/11メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 14回この商品を含むブログ (22件) を見る以下、強調は全て引用者による。 わかりにくいところを訳しなおす努力をしてみま…

社会性は、臨床的配慮に重なる

樹徳中高一貫校 「医療倫理・医系 小論文講座 特別講演会&シンポジウム」*1 講師: 松本卓也氏(精神科医/自治医科大学附属病院) 医療目線を問い直すイベントを中高生向けに企画していること、そしてレベルの高い話をなさった講師がまだ20代の精神科医で…

医療の労働と、社会環境を支える労働

さわ病院 理事長 澤温(さわ・ゆたか)*1 「これからの精神科病院」(PDF) より: 例えば60人の人を大きな一部屋に入れて一人の看護者が少し高いところからみていればどの人が問題かは一目瞭然である。しかし6人部屋や4人部屋に分かれると一人では看れ…

死ぬことの助け合い

僕に死ぬ権利をください作者: ヴァンサン・アンベール,山本知子出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2004/04/25メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 21回この商品を含むブログ (7件) を見る 【プロフィールといきさつ】: 1981年生まれ、もと志願消防士。 2000…

「狂人なき世界?(Un monde sans fous?)」(インタビュー動画)

以下のような質問に答えています。 「今日、精神医学はどのような方法をとっているでしょうか(Quel chemin la psychiatrie prend-elle aujourd'hui ?)」 「私たちの社会には、狂気のために、どんな場所が残されているでしょうか(Quelle place reste-t-il …

雑誌『Institution』

Jean Oury 「LE CORPS ET SES ENTOURS : LA FONCTION SCRIBE」(PDF、「身体とその周辺」) Jean Oury 「L'OBJET CHEZ LACAN」(PDF、「ラカンにおける対象」)

サンタンヌ病院で続けているセミネールの、聴講者による私的メモ、音声ファイルなど

http://ouvrirlecinema.org/pages/reperes/JOsem.html http://ouvrirlecinema.org/pages/reperes/prisnot/ 聴講メモは、アニク・ブロー(Annick Bouleau)氏によるもの。 これとは別に、ラボルドでのセミネールは、1971年2月から続いているそうです*1。 *1:…

ジャン・ウリの概念「分離された転移」(transfert dissocié)についてのメモ

「Wikipedia: transfert」(転移)より:*1 Jean Oury propose cette notion à partir de celle de "transfert multiréférentiel" (Tosquelles) pour illustrer le fait que la personne psychotique ne peut "transférer" sur un seul psychanalyste (comme…

メモ: 映画『扉のむこう』(Left Handed)

各地で上映会が開かれているようです。以下はその一例(私はまだ観てません)。 『扉のむこう』上映会 〜「ひきこもり」に迫る〜*1 映画は日本語ですが、英語の字幕がついております。 監督の質疑応答は英語で行われますが、通訳がつきます。 日時: 平成23…

仏教徒: 「ポストモダンて何もしてない」

『ビッグイシュー(168号)』に、中島岳志氏と、 『お寺カフェ』*1、『彼岸寺』*2 の松本圭介氏 の対談が掲載されている(参照)。仏教については、虚無をめぐる考え方がずっと気になっているのだが、 父が死んだときの葬儀屋と僧侶が、あまりに耐え難い人たち…

「大英博物館 古代ギリシャ展」(神戸市立博物館)

いってきた。

オブジェクト・レベルの属性による排除ではなく、方法論による排除

「異常者が排除される」という議論なら、マイノリティを擁護しておけばPC的正当性が確保できる。しかしいま必要なのは、苦痛緩和についての内在的な議論だ。ところがこれをやると、排除されてしまう。 つまり、名詞形のマイノリティは擁護されるが、そこで擁…

描線

廣瀬浩司『後期フーコー 権力から主体へ』p.303 より(強調は引用者): コンスタンティン・ビザンティオスというギリシア生まれの画家の1974年の展覧会に寄せた論考「ビザンティオスの黒い光線」*1においてフーコーは、独自のデッサン論を展開する。 ビザン…

「小室直樹博士記念シンポジウム」 視聴メモ

いろんな意味で刺激的であり、すべて拝見した。 http://www.ustream.tv/recorded/13116411 http://www.ustream.tv/recorded/13120051 http://www.ustream.tv/recorded/13123376 http://www.ustream.tv/recorded/13125164 ウリ/グァタリの制度論を経由して聞…

技術革新と、「アート&デザイン」

2011年3月19日の浅田彰氏の発言より(京都造形芸術大学 卒業式での式辞) http://www.youtube.com/watch?v=LpPBN5znT2A#t=18m54s たしかにいま日本は、非常な困難に直面しています。 (略) しかしここで率直に認めなければいけない。まず、いま喫急に被災者…