2007-01-01から1年間の記事一覧

斎藤の議論は、いわば「成功した欲望のフレーム」から為されている。

斎藤の場合、「精神科医がオタク趣味を持っている」というより、「オタク的な欲望フレームで精神病理学をやっている」というほうが当たっている。 彼の欲望フレームがひきこもりを対象として見出し、そこで描写している。 ひきこもりに関する表象がさまざま…

「考え方」自体を分析対象にする

本書「はじめに」より(強調は引用者)。 私は精神分析医ではありません(「日本精神分析学会」と「日本ラカン協会」のメンバーではありますが)。 分析理論の知識は、ほとんどが論文や書物を通じて学んだものばかりです。 なかには知識の偏りや誤解が含まれ…

斎藤環 『ひきこもりはなぜ「治る」のか?』 について 2

【その1】、 【その3】、 【その4】 少し間が開いてしまいました。 オフラインで取り組んでいた仕事も、今回の斎藤本批評と同じテーマでした。(作業は継続中で、遠からず皆さんにご紹介できることを目指しています。) 以下の論考は、基本的には一つのモ…

NHKスペシャル「100年の難問はなぜ解けたのか 〜天才数学者 失踪の謎〜」

参照:「グリゴリー・ペレルマン - Wikipedia」 途中からだったが、観てよかった。 再放送: 10月24日(水) 深夜【25日午前】 0時20分〜1時19分 総合 【追記:ぜんぶ観ることができました。】

『爆笑問題のニッポンの教養』 FILE015:「ひきこもりでセカイが開く時」

爆笑問題が、毎回、世界水準にある学者たちと、研究室で知の異種格闘技。 10月30日 23:00〜、ゲストは斎藤環さんとのこと。 太田も高校時代の孤独な体験を告白。 文学やアニメへの想いと、内に“ひきこもる”ことの苦しみと可能性を語りあう。 上記リ…

メモ

「もうちょっとちゃんと考えてくれよ」というのが、僕ら人間のお互いの文句だ。 その文句自体が、また制度を成している。 いや、その前に、それは再考察の場所だ。

不自由の臨床論

「治る」ということを、私は「自由になること」と考えています。 (p.186) まずニートは経済学的用語ですが、ひきこもりはどの分野の言葉か所属がいまだにあいまいです。精神学*1用語でもありませんし、心理学でも、社会学でも、教育学の用語でもない。ただ…

斎藤環 『ひきこもりはなぜ「治る」のか?』 について 1

ひきこもりはなぜ「治る」のか?―精神分析的アプローチ (シリーズCura)作者: 斎藤環出版社/メーカー: 中央法規出版発売日: 2007/10/01メディア: 単行本購入: 14人 クリック: 177回この商品を含むブログ (25件) を見る【その2】、 【その3】、 【その4】

「“ニート”からの脱出を目指すEZweb向けシミュレーションゲーム」

【参照】:「目指せニート脱出!! 池袋ひきこもり伝説 がんばれ!ニート君」(GA NEWS) 「ゲームの主人公」という自意識・ナルシシズムは、サバイバルのための選択肢であり得るだろうか。

雑誌『ビッグイシュー』 第81号 発売中

斎藤環さんと私の往復書簡 「和樹と環のひきこもり社会論」、今号は私で、『参加資格の流儀』です。 【特集】: 悲しみ、絶望からの帰還――犯罪被害者の権利と回復のために 【インタビュー】: ジョン・ボン・ジョヴィ 本屋さんでは売っておらず、すべて立ち…

イベント情報 「「ニート騒動」は終わったのか?」

チラシより。 日時: 12月1日(土) 13:30〜16:30 (13時開場) 会場: 大阪市立中央青年センター 第2ホール 第1部 問題提起 13:30〜14:30 パネラー: 【現場の視点から】 田中俊英 (NPO法人淡路プラッツ代表) 【研究の視点から】 井出草平 (大…

「ひきこもり村。閉鎖のお知らせ」

ひきこもり村。は9月30日を持って閉鎖することになりました。 インターネット上で、ひきこもりに関するコミュニティを作る試みとして、これからも記憶され、話題の中で参照され続けると思います。 おつかれさまでした。 【関連】: 「懺悔」(侑摩佳彌さ…

大事な話をしたくても、ほとんどの人は忙しすぎる。

仕事をしている知人たちとは、大切なことをじっくり話し合うだけの時間が取れない。関係が維持できないし、彼らの進路について考えるにも、肝腎なところで決定的な戦略ミスをする。 忙殺されたままで、過剰流動性に投げ込まれている。 それは結果的に、個人…

「精神そのものが政治的な事態だ」という理解

社会的ひきこもりは、それ自体としては「病気」の圏内にはない。あくまで神経症圏であり、医師の診断によって精神病圏と判明した閉じこもりは、「社会的ひきこもり」とは別の処遇(障害者年金の支給・投薬など)が必要になる*1。 しかし、たとえば私は「自分…

「現実とつながれない不自由」――メールより

【注】: 東浩紀氏の、「もともと自由ではまったくなかった」という発言に関して知人からメールをもらい、それにお返事した文面を推敲し、許可を得て以下にUPします。▼そもそも私は、まずは「主体の困難」を問題にしていて、だから《参加の手続き》をそれ自…

場所の論点化と、「ひきこもり」

支援の場所は、ひとつの論点として成り立つ。そこで何が為されるべきなのか、ルーチンとして決まっているわけではない。ただ《場所》がなければ、《論点》としても霧消しかねない。支援という場所は、つねに論じ直されるべき論点として成り立つ。 学問は、そ…

ジレンマと判断基準

自意識は、効果てきめんで周囲からの評価を奪う*1。 ひきこもっていた人は、社会から切断されることで自意識地獄になっている。もともと「気にしすぎる」タイプでもある。 今の私は、支援技法や思想を検討するのに、「よりナルシシズムから楽にしてくれるの…

ドキュメンタリー番組 「ミャンマー オーストラリア人記者は見た」視聴

ミャンマーでは、この20年間で3千以上の村が、政府軍によって襲撃されたと言われる。 ミャンマーは豊富な天然資源に恵まれながら、国家予算の2分の1を軍事費に投入しているため、国民の3人に1人が栄養失調に陥り、世界最貧国のひとつに数えられている。 人口…

シンポジウム 「ハイデッガーとフランス思想 <ひと>概念をめぐって」 参加

日時: 2007年9月28日(金) 17時30分〜20時30分 場所: 芝蘭会館本館・山内ホール パネラー: 合田正人(明治大学) 佐藤吉幸(筑波大学) 加藤恵介(神戸山手大学) 立木康介(京都大学・人文科学研究所) 三脇康生(仁愛大学) 多賀茂(京都大学) 私的な…

「ネットに何か書くことの利点を初心に帰って思い出す」(idiotapeさん) 【はてブ】

もう7年以上も前になるだろうか。大学院にいたころ、先輩の一人が自殺を図ったことがあった。幸い未遂で済んだが、学内でのこの手の話題というのは、本当に誰か死人が出たり、あるいは裁判沙汰にでもならない限り、学外には出て行かない。 この記事で紹介さ…

「引きこもり支援施設:時効認めず賠償命令 名古屋高裁」(毎日新聞)

引きこもり支援施設「長田塾」への入寮を強要されたうえ、連行される様子などをNHKにテレビ放映させ、プライバシーを侵害したとして、福島県いわき市の男性(21)が、施設の運営会社「塾教育学院」(名古屋市天白区)と同社の実質的主宰者の長田百合子…

「自分より若い世代の二人の作家の近作について」(三脇康生)

小柳は、さみしい風景の中で耐える自分(の気持ち)を描くのではなく、さみしさは彼にとって描くための初期条件であったのではなかったのか。むしろ描くことには「さみしい」という気持ちを超えてしまう要素、そのような人間的な感情を超えてしまう要素があ…

「もともと自由ではまったくなかった」 【第3回】 【最終回】より

東浩紀: そもそも、人間は工学的にコントロール可能な一種の動物にすぎない。その制御可能性は、人間の生物学的な条件そのものに根ざしているので、本人がそれを自覚可能かどうかはまったく関係ないと思うんです。 (略) しかし、選挙の話はそれに加えても…

意思決定と責任の分散化 【第2回】より

下條: 敢えて言ってしまうと、自由意志というものは実は存在しなかったということになるかもしれない、ということですね。確かにそれは困る。しかし、その自由というものは近代社会の大前提にある概念ですけど、これまでの人類の歴史の中ではそんなに長いも…

「ニューラル・マーケティング」と自由意志 【第1回】より

下條信輔: ぼくらの大学院を志望する大学院生のうち、8割がニューラル・マーケティングをやりたいと言ってきています。数年前は8割くらいがブレイン・マシン・インターフェース(脳と機械を結ぶインタフェース)をやりたいと言っていたんですけどね。ニュ…

「ゲームプレイ・ワーキング」 【第1回】より

東浩紀: 多様性を拡大するかわりに工学的な画一性を甘受した社会。(略) ひとつは「ゲームプレイ・ワーキング」。言ってしまえば人間グリッド・コンピューティング*1ですね。街の中でケータイ電話で暇つぶしをしていると、オンライン上でなにかの生産に寄…

東浩紀×下條信輔 「潜在認知さえもコントロール可能になる」 メモ

「制度や秩序の外に出られない各個人が、その制度の中で交渉能力を高めてゆく」という、理論的であるとともに臨床的な課題のためのクリップ。

社会学分野での「ひきこもり」研究書

ひきこもりの〈ゴール〉―「就労」でもなく「対人関係」でもなく (青弓社ライブラリー (49))作者: 石川良子出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2007/09/22メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 144回この商品を含むブログ (28件) を見る 【参照:「お知らせ」(…

「仮想世界のリアリティーや「引きこもり」を議論」

パネリスト: 粟飯原理咲氏 (アイランド代表取締役) 東浩紀氏 (哲学者・批評家) 小野和俊氏 (アプレッソ 代表取締役副社長CTO) 楠正憲氏 (マイクロソフト 最高技術責任者補佐) 境真良氏 (早稲田大学大学院 国際情報通信研究科客員准教授) 佐々…