2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

主観性と関係性

ニコニコ生放送「東浩紀×宮台真司 『父として考える』」について、東浩紀氏の twitter より: @hazuma: ぼくは単純に、宮台真司さんとぼくはやっぱり生き方やコミュニケーションの捉え方が大きく違うなあ、と素朴に思いました。これは年齢や世代の問題では…

至近距離の公正さ、という臨床課題

「正しい側よりも、弱い側につきたい」――このロジックに徹底的に抑圧されてきたことにようやく気付いた。正しいことを言っても、分析的に発言している時点で、「より強い立場にいるから」責められる。間違っているから責められるのではなく、むしろ「正しい…

分析者=目撃者

関西のある地方にお邪魔してきた。 あの二次会ならではというか、水面下的な問題意識の部分こそ、イベント中に繰り込む工夫が要るかもしれない。 「イベントはよそいきの顔」という声もあったが、その使い分けそれ自体をテーマにしないと、関係を営むために…

臨床活動としての正義(メモ)

中山竜一氏『二十世紀の法思想 (岩波テキストブックス)』より: 「正義」という表現の漢語としての語義は、『広辞苑』によれば「正しいすじみち、人がふみおこなうべき正しい道」という意味で、そもそも荀子の言葉に端を発するものだそうである。そうした漢…

動機づけと言語

パトゾフィー作者: ヴィクトーア・フォン・ヴァイツゼカー,木村敏出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2010/01/26メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (2件) を見る以下、[ ] 内は訳者による説明、〔 〕内はルビを原語に置き換えたもの。 太…

使いみちのない否定性

バタイユは、ヘーゲル的絶対知があり得ない以上、否定性*1には「使いみちがない」と言った。 以下、『有罪者―無神学大全』(pp.250-251)【原文】より: 何はともあれ、私の経てきた心労の多い体験が、とうとう私に、私にはもう何も「する」ことがないと確信…

内部化の病

本屋や図書館での立ち読み時間がいちばん勉強していたことに気づく。 この時間には完璧主義がないから、いくらでも本を読み進められる(参照)。 ⇒ 家にいる時間が「立ち読み」に近づけばよい。 「家の中は過剰に家の中であり、家の外は過剰に家の外」という…

【引用】 自由と狂気

ジャック・ラカンの『エクリ』より: 狂気の危険は、そこにおいて人間が自分の真実と自分の存在をともに賭してなす同一化の牽引力そのものによって測られるからです。したがって、狂気は人間の生体のもろさの偶発的な事実などであるどころか、人間の本質のな…

【引用】 主観性の危機

自明性の喪失―分裂病の現象学作者: W.ブランケンブルク,木村敏,岡本進,島弘嗣出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1978/07/11メディア: 単行本 クリック: 39回この商品を含むブログ (13件) を見る 強調は引用者。 自分は《人間として》だめだ、問題が次から…

『統合失調症と宗教:医療心理学とウィトゲンシュタイン』より 狂人は間違つて考へるのではない。寧ろ正しい考へに閉ぢこめられて身動きが出来ないのである。 (引用されていた小林秀雄「金閣燃亡」のことば) 「真の謙虚さとは、ひとつの宗教的問題である」*…

【文献メモ】 ドゥルーズ/グァタリと法

Deleuze & Guattari: Emergent Law (Nomikoi Critical Legal Thinkers)作者: Jamie Murray出版社/メーカー: Routledge-Cavendish発売日: 2013/04/11メディア: ハードカバー クリック: 12回この商品を含むブログ (2件) を見る「Jamie Murray」 http://www.rou…

意識されない党派性と、洗脳忌避のカルト化

『多重人格性障害―その診断と治療』p.446、訳者の一人である中井久夫氏による記述(強調は引用者): 〔翻訳を〕やり終えて、改めて、私の生涯の課題であった分裂病*1患者を思うと、彼らが、自己の解体を賭けてまで、自己の単一統合性を守り抜こうとする悲壮…

主体性論争 メモ

私たちの主観性そのものが、集団的傾向をもった生産過程であり生産物であり、そこでどうアレンジするかを考えなければならない*1、というガタリらの議論を考えていて、日本の主体性論争や党派性論争*2が気になった。 《歴史については、科学としての史的唯物…

身近で生きてしまっている関係実態にこそ、思想と社会が表現されている。

白井聡氏『「物質」の蜂起を目指して――レーニン、〈力〉の思想』p.318 より: フロイトによる「無意識の発見」とレーニンによる「新しいタイプの党」の発案(『何をなすべきか?』)は、ほとんど同時になされた。このことは何を意味するのであろうか。精神分…

生産と承認の様式

ひきこもりにおいては、硬直した自意識やメタ言説の万能感など、ナルシシズムの問題を避けて通れないが*1、それを「自己愛性人格障害」と名指して終わらせるナルシシズムが繰り返される。 論じる自分が、どういう様式を反復しているのかという当事者性を忘れ…

正当性の生産様式

「自分は成功していると主張する商品の詐欺的自己主張」――社会化がそういう形をしている。 意識が生産過程なら、そこには生産様式がある。 意識の努力が、どういう生産様式をしているか。 たとえ単独であっても、また集団に組織されるあり方においても。(生…

《つながりの設計者》が欠けている

NHKあすの日本「無縁社会〜私たちはどう向き合うか」(2010年4月3日放映) 録画分を再視聴。 私たちのすぐ近くにある無縁社会。それをさらに広げると懸念されているのが単身世帯の急増。「単身化」です。国の研究機関の推計よると、1980年に20%にも満…