2013-01-01から1年間の記事一覧

超越の経験的生成のために

山森裕毅『ジル・ドゥルーズの哲学: 超越論的経験論の生成と構造』*1 國分功一郎『ドゥルーズの哲学原理 (岩波現代全書)』 それぞれ数日をかけながら、二冊を一気に通読しました。 印象的だったのは、これまでドゥルーズ論の多くが (1)過剰に詩的 か、 (2…

「生まれてこないほうが良かった」について

はてブ:《子供を作るのは鬼畜の所業。それか馬鹿。》 【メタはてブ】 【さらにメタ】 与えられた生を引き受けられないと感じたときに、 どうしても直面させられる(参照)。*1 ひきこもる人の一部は、 勝手に産んだのだから、親は俺の面倒を見る義務がある …

フェリックス・グァタリ――難解さの必然性はどこにあるのか

現代思想 2013年6月号 特集=フェリックス・ガタリ作者: F・ガタリ,杉村昌昭,江川隆男,千葉雅也,近藤和敬,M・ラッツァラート,田中泯,田村尚子,柄谷行人出版社/メーカー: 青土社発売日: 2013/05/27メディア: ムックこの商品を含むブログ (7件) を見る 特集部分…

動詞的当事者(当事化)の臨床運動のために

初期ストア哲学における非物体的なものの理論―附:江川隆男「出来事と自然哲学 非歴史性のストア主義について」 (シリーズ・古典転生)作者: エミールブレイエ,´Emile Br´ehier,江川隆男出版社/メーカー: 月曜社発売日: 2006/06/01メディア: 単行本購入: 2人 …

公開シンポジウム 「ひきこもりの現在・過去・未来」(7月13日)

【イベント詳細(PDF注意)】 入場無料・予約不要 【日時】: 2013年 7月13日(土) 13 時30分〜18時 【場所】: 京都大学 人文科学研究所 1F セミナー室 1 【趣旨説明】 13:30 〜 13:40 パネル I: ひきこもりの現在――何が問われるべきか 13:40 〜 15:4…

超人として働くとは、どういうことか?

原理的な励ましを得ました。 支援論の基本図書としたいぐらい。 超人の倫理 ---〈哲学すること〉入門 (河出ブックス)作者: 江川隆男出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2013/02/09メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 10回この商品を含むブログ (…

江川隆男『超人の倫理 ---〈哲学すること〉入門 (河出ブックス)』を読んでいて(これは名著!)、 解釈学と記号学は不倶戴天の敵同士*1 l'herméneutique et la sémiologie sont deux farouches ennemies. というフーコーの言葉を、逆に理解していたことに気…

いわゆる当事者発言は「仕事」か

私はずっと、自分の仕事への評価が低い――というよりは、そもそも私のやっているのは「仕事ではない」という扱いに悩まされてきたが、 自分の事情を内在的・分析的に話すのを嫌がる人が、 そういう努力を仕事という枠組みで理解するはずがない。*1 今さらと言…

「国際霊柩送還士」、木村利惠氏のお話から

『池上彰くんに教えたいニュース』(日テレ) 出演されていた木村利惠(きむら・りえ)氏*1のお話が鮮烈だった。 部分的に文字化しておく。 「国際霊柩送還士」の仕事は、大きく分けて二つ。 (1)遺体の輸送に関する複雑な手続きを代行 (2)エンバーミング…

レヴィナスの動詞論

私は、名詞形の「当事者」概念に疑念を持ち(参照)、 なんとかそれを動詞形で扱えないかと試みているのですが、 「レヴィナスが、《名詞ではなく動詞を》という話をしている」 というご教示をいただきました(参照)。 ネット上に引用されていたレヴィナス…

語用メモ:「医療環境」

海原亮(うみはら・りょう) 『近世医療の社会史―知識・技術・情報』 江戸時代、人びとは病をどのように認識し、克服したのか。医師・患者双方の史料を活用し、地域社会における医療の具体的な様相と、それをつくり出した社会構造の基盤を解明。さらに、全国…

ひきこもったことで、耐えられないこと。

http://bit.ly/1736hgO 親孝行できない。 自分がいなければ、家族はもっと幸せだった。 ひきこもる行為には、「弱者ゆえの虐待」という面がある。 規範意識は、事態を悪化させる。 →《制度設計+技法論》

内在性ゆえの、当事化の必要

当事「者」という名詞形の問題が大きすぎるので、以下では当事化と、動詞形にします。その意味するところは、少しずつ考えてゆきます。 思想研究では、研究者じしんの《当事化》を義務づけるべき 「当事者=弱者」じゃなくて、そういう要因も含んだ上で、 自…

必要な論点は、どこにも書かれていない

これもほしい。対策急務。 RT @contractio: 『なぜあの人たちは書いてないことが読めるのか』(河出書房新社)2013-03-26 10:55:04 via twicca to @contractio これは話が逆で、むしろ この人たちは、なぜ自分が「書かれたことしか読み取っていない」と言え…

生活者に必要な論点としての singularité

ツイッターでのやり取りですが、singularité(特異性)という20世紀フランス思想の概念について、以下のような問いが出されていました【参照1】【参照2】。 部分的な要約と引用をしてみます: グァタリの singularité は、いつも特異性と訳されているが、単…

グァタリの語用: 《détacher》(13)

【承前】 【0】 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】 【10】 【11】 【12】 『Chaosmose』-2 (1992年) Cette subjectivation pathique, à la racine de tous les modes de subjectivation, est occultée dans la subjectivité rationalis…

努力の回路を設計し直そう

上利博規(あがり・ひろき)*1 「記号と論理、1960年代のドゥルーズ」 短くまとまっていて、見通しが良くなりました。 ロゴスによる伝統的哲学に対して、《徴候的な記号(シーニュ)》という、別の思考を立てること。これは、不登校・ひきこもりの苦痛緩和に…

グァタリの語用: 《détacher》(12)

【承前】 【0】 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】 【10】 【11】 【13】 『Chaosmose』-1 (1992年) Comment certains segments sémiotiques prennent-ils leur autonomie, se mettent-ils à travailler à leur propre compte et à séc…

グァタリの語用: 《détacher》(11)

【承前】 【0】 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】 【10】 【12】 【13】 『Les années d'hiver 1980-1985』 II y a en moi une puissance de détachement, dont je suis le spectateur. Pour moi, il y a des gens qui s'allument, ça…

グァタリの語用: 《détacher》(10)

【承前】 【0】 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】 【11】 【12】 【13】 『L'inconscient machinique』-4 (1979年) Une, en particulier, dont il ne peut apercevoir le visage, se détache du groupe et se transforme en une sorte…

理念ナルシシズムの欺瞞と暴力

「社会」「連帯」「正義」――こういうアリバイを先に立て、それとの関係で中間集団を作ってしまった人たちは、もうその集団を決して検証しない。思考過程そのものが、手続きにのっとった還元でしかない。ひたすら、自分たちのイデオロギーを確認するような思…

グァタリの語用: 《détacher》(9)

【承前】 【0】 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【10】 【11】 【12】 【13】 『L'inconscient machinique』-3 (1979年) Ainsi la visagéïté composite d'Odette-Zéphora s'incarne de plus en plus douloureusement dans une constellati…

グァタリの語用: 《détacher》(8)

【承前】 【0】 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【9】 【10】 【11】 【12】 【13】 『L'inconscient machinique』-2 (1979年) Les composantes diagrammatiques ダイアグラム的な構成要素 Avec les composantes conscientielles un nouveau typ…

グァタリの語用: 《détacher》(7)

【承前】 【0】 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【8】 【9】 【10】 【11】 【12】 【13】 『L'inconscient machinique』-1 (1979年) S'il est vrai que les machines abstraites ne relèvent ni du couple phénoménologique - sujet-objet, ni du cou…

当事化ゆえに、禁忌とされる技法論

私が必要とする論点は、抽象的に論じても趣旨が伝わりにくいので、具体例を出してみます。 「母親のおかげで、ヤクザから恩恵を受けてきた」 ひきこもる人が継続就労に努めるとき、大きなテーマになるのが中間集団です。身近な関係をどうマネジメントし、ど…

技法論的な加担責任

技法論がどうして嫌われ、怒りを買うか。あるいはそもそも、どうして「何を話しているか」すら理解されないのか。――これは技法論が、加担責任を突きつけることに関係する。人々は、「事柄そのもの」を考えられると本気で思っている。ところが《考える》には…

いわば超越論的-素材的-唯物論的な、技法論

日本語では、《技》のあとに 「術」 「法」 「能」 とつけて、 それぞれ微妙に意味が違いますよね(技術、技法、技能)。 ちがいを説明しろと言われると難しいけど、 日本語ネイティブの人は、なんとなく使い分けてる。 英語だと、 art / technique / meth…

マイノリティ擁護の周辺

次の(1)と(2)で対立した場合、トラブルは(1)に有利でしょう。 (1)歴史的に成立した分かりやすい「正義っぽさ」に依存できる。相手の巻き込まれる社会的葛藤を無視し、その場に出てきた言葉ヅラだけで「論争」できる。 (2)ちょっとした事情説明にも…

動詞形マイノリティの擁護

ドゥルーズやグァタリの文脈にある《生成》は、動詞形であるはず。 名詞形で「生成」「生成」と論じたところで、生成を生きたことにはならない。 ところが多くの論者は、これを名詞形で擁護して正義を生きたことにしてしまう。*1 これは、「当事者」という名…

観念論における、「技法問題の最終的解決」

「観念論:唯物論」 ≒ 「規範論:技法論」 観念論(イデア主義) と 唯物論(もの主義) の争いを(参照)、 規範論と技法論の対立として、位置づけ直せます。*1 これは、ロールズ、ノージック、ローティ等を対比させる議論とも、問題設定の焦点が違うはずで…