追い詰められると、問題意識こそが孤立する

順応できなくなると、それだけで頭が一杯になり、他のことが出来なくなる。 そこで、自分で自分の事情を引き受け、やり直さざるを得ない。 自分なりの技法を開発することでしか、しのげない。 私は何とか、技法を開発してきた。それは、問題意識じたいをやり…

「聞き書き」と、生身の関係の技法

king-biscuit 【聞き書きは、なぜ「難しい」ものになってしまったのか : 「聞き書き」という手法の本来的可能性についての一考察】【CiNii】 私はこれまで、 学術言語 ⇔ 身体的に立ち上がってくる分析 上から見下すような「調査」の目線 ⇔ 実際に生きられる…

「人格と作品は切り離せない」は、《技法≒生産様式》の問題

「人格と作品は分けられない」という話をするときに私が何より考えているのは、 人格はそれ自体が一定のスタイルを伴った制作過程であり、また作品そのものである ということです。だからそもそも、「人格と作品を分けられる」という発想自体があり得ません…

ひとまず、途方に暮れることで出発点に立つしかない。

左翼リベラルの醜態は、「向こう岸」ではないわけで。 左派の酷さは、立場の弱い人を直撃します。 名詞形《当事者》概念の周辺は、唖然とするほど悲惨です。 その言葉を当たり前のように使う人たちの問題意識を変える必要があるものの、簡単な説得法などあり…

映画『この世界の片隅に』みた

素晴らしかった。 【公式サイト】 http://konosekai.jp/ 事前には何も情報を仕入れないで、まっさらな状態で観に行かれることをおススメします。(なので本エントリも、観に行かれた後のほうがいいです)

関水徹平『「ひきこもり」経験の社会学』(左右社)について

「ひきこもり」経験の社会学作者: 関水徹平出版社/メーカー: 左右社発売日: 2016/09/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る【左右社の本書のページ(目次ほか)】 じっくり精読しました。 もし、この「一緒に考える」過程において、支援者の…

理論言語こそが全体主義を生んでいる。理論活動を、観念論的抑圧から、技法の試行錯誤に変える。

失敗の研究としての当事者概念(メモ)

私は自分がうまく行かなかった経緯を内側から考え直すことを良心性のかなめとしてきた。「自分はうまく行っている」という自己申告には、ウソが混じる――そういう感覚を最優先に考えた*1。この感覚は、左派の知的伝統とも折り合いがよいはずだった。しかし実…

自分の研究が理解されないことについて(望月新一氏の文章より)

★【「異世界からきた」論文を巡って: 望月新一による「ABC予想」の証明と、数学界の戦い】(WIRED.jp) 画期的な論文を書き上げているはずなのに、内容を理解できる研究者が(書いた本人以外には)世界に一人もいないために、「論文が正しいのかどうか」さ…

動詞としての、偏差と制度化

廣瀬浩司氏のツイッターより: 「自然と制度」(期間限定)URL2016-05-15 02:32:52 via Twitter Web Client 非常に重要な論考なので、ぜひプリントアウトして熟読してほしい。 意識のあり方が少し変わってしまうような読解体験になるはず。 以下ではこの論考…

閉じこもっての死亡事例――「50代の息子、80代の母親」

産経【新潟・三条市で男性の変死体 母も遺体で発見 息子殺害後に自殺か】(2016年5月9日11時19分) 8日夜、新潟県三条市西本成寺の無職、小林千浩(かずひろ)さん(50)が自宅で首から血を流して死亡しているのが見つかり、9日朝には同居していた73歳の母…

「医療同意は法律行為ではない」について(メモ)

【成年後見人確保へ新法成立=認知症高齢者増に対応】(時事ドットコム、2016年4月8日) 【成年後見促進法が成立 「自己決定権を侵害の恐れ」】(東京新聞、2016年4月8日) 【成年後見制度促進法が成立 なり手の育成が柱】(朝日新聞、2016年4月9日) 社説【…

映画『ヤクザと憲法』鑑賞

自分が家族を傷つけながら生きていることをしみじみと感じました。 とにかく、就職活動を続けます。 落ち込みましたが、けっして悪い落ち込み方ではないです。 話したいことは山ほどあるのですが――この映画については、 できるだけ信頼関係の中で話し合いた…

「で、その言説におけるあなたの当事者性は?」

私はずっと、 アカデミズム 当事者≒マイノリティ 運動体 この3つの触媒みたいなことをやっているつもりだったのですが*1――そういう曖昧な(というか、それぞれの境界に立とうとする)努力は、どの領域からもあまり歓迎されません。それぞれの属性領域は、そ…

拙稿:「動詞を解放する技法」

多文化間精神医学会の学会誌『こころと文化』に、査読付きの拙稿を掲載いただきました。 学会誌ページでは、まだ前号の vol.14, no.2(2015年9月刊)が「最新号」になってますが、すでに新しいのが出ていて、この新しいほう vol.15, no.1(2016年2月号)、pp…

謹賀新年

《名詞と動詞》というモチーフが関係すること; (1)時空間的に生きる技法*1 (2)避けられない紛争*2 (3)とりわけ差別問題 このあたりで、成果を作りたいと思っています。 本年もよろしくお願い申し上げます。 上山和樹 *1:物理学だけでなく、主観性/集…

「政治を生きるのは、成果主義なき実験台となること」(廣瀬浩司氏)

廣瀬浩司氏のツイートより:*1 トスケイェスとガタリが「政治的なもの」に身を委ねるなか、間に立つウリは「政治」を生きてしまった。政治的なものに身を委ねるたやすさは誰もが知っている。だが政治を生きるのは「成果主義」なき実験台となることである。20…

政治的な武器としてのセクハラ冤罪は、なぜ可能か

2015年は、これまでにも増して、左派のおかしさが剥き出しになったと感じました。当事者論に関連して決定的だったのは、セクハラ冤罪バリケードの件です。 民主参院幹部は「女性が前面に出れば手出しできない。女性による安保反対は絵にもなる」と解説した。…

映画『ハッピーアワー』観てきた

5時間17分に3900円はハードルが高かったが、地元神戸で作られていること、そして監督・濱口竜介の発言が興味深く、足を運んだ(@元町映画館)。結果として、重大な示唆をもらうことになった。この件はずっと考えたいし、知人たちと話し合ってみたい。*1 以…

「その体験は、完全に無駄だった」のか

髭男爵・山田ルイ53世「引きこもりは完全に無駄」 人生の豊かさという意味で完全にロス。みんなと一緒に楽しく勉強して遊んだ方が絶対にいい。人生設計的にも苦境に追い込まれますからね。美化するのは違うと思うんですよ。 引きこもったら、不登校になっ…

「他者との連帯を拒絶する者が底辺である」(北田暁大)

@QueenWaks なぜわたしが大事に思ってる女の子たちがこんな社会の最底辺彷徨ってるようなクズに毎日毎日罵詈雑言投げつけられて苦しまなきゃいけないのか。こんなに言われると人でも殺したのかと思うけどデモやっただけだからね アホかよ。*1 @QueenWaks: わ…

「反知性主義」と、潜行的な知性

上尾真道氏【《書評》:ジャック・ランシエール著、梶田裕、堀容子訳『無知な教師』】 書評本文より(以下、枠線内はすべて上尾氏の文章からの引用)*1: 当代の知識人たちが寄稿するこの雑誌が、知性の代表みたいな風にして、(ポピュリズムの政治も含め)…

『自殺予防総合対策センター』について(メモ)

これまでは内閣府の所管だったのですが、2016年4月から、厚労省に移管するようです。 【内閣官房及び内閣府の業務の見直しについて】(PDF直リン、平成27年1月27日閣議決定) 2-(3)内閣府機能の見直し 〔4〕厚生労働省に移管する業務 自殺対策(平成28年…

《切断》ができるための、《接続》事情の当事者性

【「20世紀末・日本の美術」から「新しき場所」へ】(togetter)より: .@EnricoLetter 「接続と切断のサイクル」という大山様の発言には、千葉雅也さんの著作との響き合いも想起しました(僕は読めてないので単に想像でしかないんですが)。いずれにせよ、…

制作と参加を、内側から語ること――『20世紀末・日本の美術』

サイト: http://jart-end20.jugem.jp/ 20世紀末・日本の美術―それぞれの作家の視点から作者: 中村ケンゴ,眞島竜男,永瀬恭一,楠見清,木村絵理子,小金沢智出版社/メーカー: アートダイバー発売日: 2015/04/15メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見…

古臭い「新しさ」と、時間軸の社会的編成

画家・永瀬恭一氏に対して、さらにこちらでお返事してみます(お返事というか、関連したメモみたいなものですが)。なおネット書店の遅延が続いていて、『20世紀末・日本の美術―それぞれの作家の視点から』は未読です。(以下、赤字や太字の協調は全て引用者…

コミュニティの技法としての文体

【『20世紀末・日本の美術』についての大山エンリコイサム氏の感想ツイート】(togetter) .@EnricoLetter 大山様、「20世紀末・日本の美術」へのコメントありがとうございます。拙発言の偏りも含め、前向きに読んでいただけたようで、大変にうれしいです。…

「ヤクザを取材すること」そのものについての当事者的な報告

潜入ルポ ヤクザの修羅場 (文春新書)作者: 鈴木智彦出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/02/17メディア: 新書購入: 3人 クリック: 105回この商品を含むブログ (22件) を見る 本のタイトルや帯はやや扇情的ですが、 中身はむしろ淡々として、突き放した筆…

内在的な分析が、紛争生産的であること

すでになされている関係性や仕事に、「入る」こと。 閉じこもり状態をめぐる支援は、まずは「外から内を」目指す。 しかし「入った」あとにも、場所や関係性への怒りはあって、 これは「入る前」に抱いていた怒りとは変質している。 閉じこもる人は、すでに…

時間を論じる議論が、時間「について」論じるばかりで、時間「を」生きる技法を問い直せていない。必要なのは技法であって、規範ではない。不当なメタ(現象の外部)を前提にすると、技法が硬直する。論じる自分や集団は、時間を生きることそのもの。 【4月4…