映画『この世界の片隅に』みた

ueyamakzk2016-11-16

素晴らしかった。

事前には何も情報を仕入れないで、まっさらな状態で観に行かれることをおススメします。(なので本エントリも、観に行かれた後のほうがいいです)



  • アニメでも実写でもあまり体験したことのない、独特の感情が湧いてきて、泣いてしまう映画。
  • 生活感情に影響を与える作品。「こういうのをもっと観たい」と強く思う。
  • 暮らしている、という、散文的な事実の愛おしさ。上映が終わって電気がついたとき、周囲に「生活者」がたくさんいた。
  • 映画を観ながら、なぜか自分が家族にしてきたことのひどさを痛感してしょうがなかった。鑑賞中ずっと、罪悪感に潰れそうになっていた。でもそれも含めて、「観てよかった」と強く思う。
  • いわゆる「反戦映画」みたいな、説明的なイデオロギーを感じるとシラケるが、本作はそうではない。
  • 昭和初期から戦後までの《日常の時間》が、本当にそこにあった。料理のシーンを思い出すと、なぜか泣いてしまう。
  • がんばって生きている日常を、ひこうきとバクダンがこわす。それがいかにひどい暴力か、いかに侵襲的か。戦争映画はたくさん観たが、「初めて見た」と言いたくなるリアリティがあった。
  • こうの史代の描く人物は、顔と手のひらと足が大きい。それがたまらなく愛おしい。ジブリ系ともちがう、新しい琴線に触れるリアリティ。
  • ラブシーンは、私の観た映画史上でいちばん可愛かった。
  • おんなのひとの心理に、古典作品のような複雑さを感じた。
  • のん(本名:能年玲奈)氏*1。私は NHK のドラマは観たことがなく、これまでどうでもいい存在だったが、今回は本当に素晴らしく、役柄に合っていた。
  • 映画の最後に、クラウドファンディングで資金面に協力した方々のお名前が並ぶが、これが壮観。「おおぜいで協力して作った」という生々しい感じ。そして出来上がったのがこの傑作、というのがすごい。




*1:すごく自然な広島弁に聞こえたけど、ご出身は兵庫県神崎郡らしい。関西で生まれ育った私には、おそらく方言ゆえに意味が分からないセリフややり取りがいくつかあった。