「わかりやすすぎる現実」にいかに抗うか

【『20世紀末・日本の美術―それぞれの作家の視点から』著者インタビュー(1):永瀬恭一】(アートダイバー) リンク先は美術の話ですが、モチーフとして共有できる点を感じたので、 引用しながらメモします(強調は引用者)。 「触れられていない事象や側面…

芸術の趣旨と臨床の趣旨は、お互いに単に外在的なのか

以下の公開研究会に参加してきました。 公開研究会【地域のアーティストの地域精神保健サービスへの参画の可能性について――フランスのリールがイタリアのトリエステから学んだもの(ガタリとバザーリア)】(甲南大学、三脇康生氏) 関連:*1 芸術の価値を福…

「福祉専門職の統合を検討」 メモ

【福祉専門職の統合を検討 1人の職員で子どもから高齢者まで】(福祉新聞、2015年03月23日) すでにある資格を持つ職員が別の資格を取り直したりしなくて済むような方策を検討する。フィンランドの保健医療の基礎資格「ラヒホイタイヤ」などを参考に、職種…

「当事者」は、政治活動の主体であって、意見はお互いに対立する

【[提言] 若者は政策的支援を受ける権利もあるが、自ら環境を変えていく権利と義務がある。若者参画に向けたチャンスとエンパワメントが必要だ】(ビッグイシュー ONLINE) 私が斎藤環氏に反論したのは、まさにこれの実演です。 しかしその結果生じたのは、…

「思い」という抑圧

【国連防災会議、大川小保存を卒業生が世界に訴え】(加藤順子、池上正樹) 「大川小の校舎を残したい」 そんな思いから、 こう思いを明かした。 強い思いが伝わる内容となっていた。 「思い」という語は、そういう語でまとめる自分の態度が生んでしまう問題…

必要な問題意識と、業績の問題意識

事態改善のためには耳目を集めなければならないとして、 しかしいつの間にか、注目を集める動きが自己目的化する。 ジャーナリストもアーティストも、一時的に耳目が集まれば自分の業績になる。 しかしそれは、事態を改善することとは(ひとまず)別の動きで…

いまは、理論言説を現実世界に引きずりおろす途上

規範から技法へ 不登校・ひきこもり・依存症――これらにとって規範言説は有害。必要なのは技法の試行錯誤。*1 「私は健康とされているから再検証の必要はない」では困る。《集合的な場》の技法論的醸成に、加担責任がある。*2 知的言説が規範論に終始している…

【Asia Insight「中国 捨てられた子供たちを救え!」】(NHK)【参照】

再放送をぐうぜん視聴。 中国では捨てられた子どもが毎年10万人に達する。多くは難病を抱え、医療費を払えない親が手放すケースだ。 取材されていたある一例(画面に映し出された大まかな経緯) 父親に置き去りにされた2〜3歳ぐらいの女児。自分が捨てられた…

逸脱的に生きざるを得ないと、常態的な希死念慮との戦いになる

順応的になれない、所属を持てないのは、あぶない*1 しかし、そういう境位でのみ為せることがある 私が死ぬことで喜ぶ人への怒り 私のために待ってくれた人への申し訳なさ 希死念慮は、誰にとっても珍しくない →むしろヒトを、希死念慮との関係で位置づける …

悪意やデタラメに対処できる集合的な状態とは

百田尚樹『殉愛』の真実作者: 角岡伸彦,西岡研介,家鋪渡,宝島「殉愛騒動」取材班出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2015/02/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (17件) を見る この案件では、2ch の当該スレッドを長々とリアルタイムで読み続ける、という…

アートや支援と《生活》は切り分けられるのか

【トークセッション「ARTISTS' GUILD:生活者としてのアーティストたち」をめぐるツイートいろいろ】- togetter 芸術活動と生活については、 物象化に支配された世界で、素材をどうするか →人事権、人脈、マーケット的影響力を持つ人に抵抗しにくい。 「逆ら…

斎藤環の特大のブーメラン:「キャラ消費で免責するな」

斎藤環【差別発言、キャラで免責】(朝日新聞) この記事は、斎藤氏じしんにとってブーメランとなっています。*1斎藤環氏は、 上山和樹を「ひきこもり当事者」というキャラに監禁し、それを消費することでしか関係を作れなかった(参照)。*2 ご自分自身が「…

その議論は、快適な時空間を生み出すことに貢献しているか

ジャン・ウリ 「転移と、言う空間」("Transfert et espace du dire"、PDF)*1 私たちは、何かが生じられる空間を集合的に作り出す必要を強調する。 〔…〕 特別な領野を定義する必要がある。 nous insistons sur la nécessité de créer collectivement des e…

「ひきこもる」というテーマの焼き直し

「安倍政権をどうするか」 「ひきこもる○○さんをどうするか」*1 「人事権に居直る○○氏をどうするか」 「学問言説に自閉する学者をどうするか」 これらのモチーフは重なっている。 言説の党派性、マーケット的影響力、肩書きや資産による既得権。 それぞれの…

「気持ちを分かってほしい」の暴力

「気持ちを分かってほしい」とかいうのは、感情的同一化を要求する暴力です。 これに共感を示すのが誠意ということになってる間は、むしろ権威主義は温存されます。 たとえば引きこもり問題では、「私の気持ちを分かってほしい」と言う人が、自分以外の「気…

知性の体質みたいなもの

みずからの事情を含む制度論的分析(≒当事化)については、私と似た体質の人は、最初からそういう話をなさっている。その人の言うことを聞いていると、こっちもスーッと楽になったりする。 あれこれ説明しなくても、異様に話が通じる。ふつうならいちばん難…

自分の生きる制度への分析は、自他への臨床活動になる

【第1回DG-Lab研究会開催報告(その2)】(ドゥルーズ・ガタリ・ラボラトリ) このレポートを拝読するかぎり、山森裕毅氏は『医療環境を変える―「制度を使った精神療法」の実践と思想』という本を乗り越えたと主張した形なのですが、では山森氏の説明に新機…

論者たちじしんの、労働の技法は?

濱口桂一郎【労働と「思想」】(hamachanブログ - EU労働法政策雑記帳) 先日の拙エントリが参照されているのですが、 通りすがりにひどく罵倒されています。 このブログの人は、「思想研究」の対語を「実学」などと言っているので、その時点で話にならない…

思想研究にも実学にも、集合的な技法という意味での試行錯誤がない

思想史の研究と、いわゆる「実学」研究の関係について、 研究者間の論争状態を目にしたので、それを部分的に引用しつつ、*1 既存の政策論や臨床言説に欠けているポイントを記してみます。 書籍『労働と思想』 市野川容孝、渋谷望・編 発行:堀之内出版 『労…

狂信の武装解除は、狂信になっていないか?

廣瀬浩司氏のツイートより: イスラム国は国家の脱構築のひとつの帰結である。そのことはデリダはわかっていた 私がデリダに持つ疑念と、さらにもう一つ、 私の課題である《動詞形の当事化》に関係するように見えるので、 これはぜひ詳細に伺ってみたいです…

才能、技法、環境条件――山田ルイ53世さんの場合

【引きこもりからの栄光なき受験が糧に 髭男爵・山田さん】(朝日新聞) Wikipedia -「髭男爵」より: 山田ルイ53世(1975年4月10日 - ) 兵庫県三木市出身、六甲中学校に進学するが、中学2年生の夏頃から引きこもりになり、中途退学。大学入学資格検定を経…

阪神・淡路大震災から20年

ダブル・スタンダードは当事化されない。しかしそれを言うだけでは、インセンティブの設計にならない。分析で最も困難なのが動機づけ。人は「うまくいかない」に直面しなければやり直さないし、頓挫しても、かえって自分を棚に上げる、逃避的パターンに固執…

謹賀新年――作業過程の蘇生

「画材店は楽しい」と気付いて、 子供のころの工作のわくわく感も思い出し、 それまで考えていたことが、いろいろ繋がった気がします。 観念論的なあり方を、唯物論的なあり方にするという意味での治療 《不可逆の時間》の技法が要る。不当に空間化するので…

作品活動と侵犯(メモ)

《男女300人の絡みを撮影【大橋仁 INTERVIEW】》【はてブ】 論争の焦点となっているのは、以下のくだりです。 大橋仁:〔…〕2005年くらいからプライベートでタイの売春宿に通い、撮影を始めたんです。とはいえ、金魚鉢での撮影はそうそう簡単にはいかないわ…

疑似科学の傲慢さと、「不可逆の時間」を扱えない科学の傲慢さ

話題になっていたツイートより: @mcnang / ガードナーによる疑似科学者の特徴は、ざっくりまとめると、... ある学問領域で実績があり、科学論については穏当な見解をもつ論者が、政治経済や差別問題では唖然とするような議論をしていることからして*1、実は…

紛争をめぐる生成と技法――制度分析

集団の生きるパターンや条件を分析し、これをタイミングごとに組み替えようとする方法論*1には、 雇用やサービスをめぐる民事的契約からの逸脱 という要因があります(最初の取り決めからも逸脱し得るので)。そうすると、そういう意味での制度分析をスタッ…

抑圧の実行行為としての分析

思想とは、紛争導入のスタイル。愛する≒紛争する。執着のないところに説得はない。▼このテーゼ自体が自己言及的。私はこのように導入している。 紛争は思い通りにならない。紛争こそ中動態であり、事件と受働に満ちている。*1 昨今の言論は、情報処理のパタ…

時間との付き合いかた――映画『インターステラー』

以下、ネタバレ注意。

「反日」という概念の位置づけは、「反ユダヤ」と完全に同じです。

左派は、名詞形の当事者概念を強固に信仰しており、 それがゆえに、名詞形の分類(民族など)を要因として含んだ党派性を分析することを許さない。この「許さない」が欺瞞になる。 左派の議論じたいが、人の分類を前提にした、差別の実行行為になっている。 …

自分を問い直すことが出来るという意味での専門性

私のツイートより: 左翼・リベラルを含め、差別的な人たちの言説は、それ自体が依存症のフレームを成している。(これは自己検証のモチーフで、くり返し思い出す必要があります)2014-11-02 10:54:17 via Twitter Web Client 「客観性」を口実にすることは…