2004-04-02から1日間の記事一覧

いま思うこと

「ヒキコモリ」の問題は、それがひどい苦痛を伴うという意味においては「医療」の問題だし、日本においては文脈上まずは精神科医が啓蒙のイニシアチヴを取る意味があったと思う(「犯罪者予備軍」「甘えている」という偏見に対抗するには、いったん医師が「…

「解決」ではなく

他にもネット中毒の問題など、いくつかの話題が出たが、会議全体を覆う「治療対象としてのヒキコモリ」という雰囲気がとてもつらくて、実はそれ以上はあまり覚えていない。 発言者席に座っている当事者は僕だけだったが、会場には他にも日本人当事者がいて、…

社会的・人文的観点

後半が始まった。 鈴木謙介さん*1、漫画家のイ・ヒョンソク(Lee Hyun Seok)さん(都立大に留学中)*2が、社会学の観点から興味深い指摘をしてくださる。高度成長期を終えた日本の事情、日本と韓国の若者文化の変遷、日本で好まれる宗教の変遷(来世利益か…

休憩時間

共同通信(だったと思う、ウロ覚え)の記者さんに呼び止められる。会議にあたって、どういったことをお考えですか、と聞かれたので、「ヒキコモリは若い間は価値観の問題ですむが、高齢化とともに生き死にの問題になってゆく」という趣旨の発言をする。(帰…

「餓死」というテーマ設定

・・・・そう、そういう戦略的な意味合いにおいて、僕は韓国で失敗したかもしれないんだ。 僕は会議前には、「今回の会議では、何か発展的な論点を示せないか」と息巻いていて、それを集約した話題が「餓死」というものだった。 当事者も親も若い間は、ヒキ…

「治療」?

会議では、これまでに参加してきた日本のヒキコモリ関連のイベントでは絶対になかったような途轍もないつらさを味わい続けた。これはなんだろうと思ったら、どうやら韓国側の参加者を支配している「ヒキコモリは治療せねば」という雰囲気のせいらしい。彼ら…

「共同体回帰」?

会議では、韓国の不登校への取り組みとして、合宿と共同遊戯(仲間と協力しないと遊べないゲームなど)を紹介したビデオが上映された。小学校低学年への取り組みなのだが、参加にはものすごい大金(たしか30万円?)がかかるらしく、一般的ではない。 もっと…

日韓の違い?

韓国側はしきりに「ヒキコモリ」という日本語の単語を交えながら発言するんだけど、どうも彼らが想定している状態像と、日本側のそれとはかなり違っているらしい。たとえば韓国では引きこもっている人はほぼ100%インターネットをしているらしいが(対戦型ネ…

さて、ちょっと言いにくいのですが・・・・。

会議の進行にともなって、韓国側の極端な権威主義――としか言いようのないもの――が明らかになってくる(これは日本の精神科医においても同断なんだろうか)。最も年長で真ん中に座っておられるイ(Lee Si Hyung)氏を中心として、座っている順番に見事にピラ…

会議が始まった。

最初に全員が簡単な自己紹介。両国とも10人ずつぐらいの参加者だが、韓国側は漫画家さんとネット中毒の専門家?をのぞいて全員ソウル大学(と誰かに聞いた。日本でいう東大ですね)出身の精神科医。日本側は精神科医は斎藤環さんだけで、あとは社会学、哲学…

会議直前

さいわい体調はそれほど悪くない。 ホテル内の小さな食堂でお昼ご飯のあと、いったん部屋に戻り、「1時半にこの食堂に集合」というので行ってみたら、そこに縦長に机が並んでいるので驚く。・・・・こっ、ここでやるんですか? そうですか。 次々とスーツ姿…

前口上

2004年1月31日、韓国で開かれた「ひきこもり」会議に出席してきました。 「ひきこもり会議」といっても当事者が集まって会議したわけじゃなく、「専門家」の会議。僕は「当事者」という立場を期待されたんでしょう。 → これが「オタク会議」とか「宗教会議」…