情報提供と批評的態度

 id:hikilink:20030924に、大事な問題提起が為されている。
 彼のHPは引きこもり支援に関する情報サイトになっているのだが、データベースとしてただ単に情報を無機的にズラズラと並べていては、良いも悪いもいっしょくたになってしまう。「どの団体がいいか」について最低限の情報も付記したいが、根拠なき中傷や過剰な賞賛を排除するのは難しい。かといって、自分で足を運んでみずからレポートしようにも、その訪問時だけ先方からいい顔をされるかもしれない。文学や映画のように「作者不在の場所で作品だけを鑑賞する」ことはできないのだ。(ただしそういう困難を知りつつ情報提供に踏み切った試みもある→http://www.pot.co.jp/pub_list/pub_book/ISBN4-939015-47-5.html
 かくして、「最良の情報源は2ちゃんねる」ということになる。これは僕も考えていたことなのだ。2ちゃんねるのヒッキー板、特に斎藤環工藤定次ニュースタートなどの個人・団体名を記したスレッドには、ひきこもり支援に関するそれぞれの考え方の衝突や、実際に支援施設を体験した人間によるレポートもあって、匿名板独特のナマ情報が溢れている。もちろん情報の取捨選択の目は必要だが、僕がかりに個人で批評めいた言論活動を行なったとして、あの「2ちゃんねる」以上の情報源たり得るかどうか。
 ひきこもり支援団体そのものを評価するのではなく、「ひきこもり支援をめぐる言説」を取り上げて考える、ということは出来るかもしれない。各団体や個人、当事者たちの発する言葉をめぐって考えること。
 僕自身はといえば、先日も書いたが「支援」という発想ではなくて、「参加への誘い」といった方が好みなのだが。