2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

専門家システム――埋め込みと脱埋め込み

ギデンズ 『近代とはいかなる時代か? ─モダニティの帰結─』では、専門家システムが《脱埋め込み(dis-embedding)》の重要な要因だった。ところが今は、逆に「専門家システムへの埋め込み」が問題になる。 ひきこもりのように自己確認そのものの底が抜けてい…

本人側の意識と、親の意識

第27期 東京都 青少年問題協議会「「若者を社会性をもった大人に育てるための方策について」具申」より(強調は引用者): 2007 年に社団法人全国高等学校PTA連合会と株式会社リクルートが全国の高校2年生とその保護者を対象に実施した「第3回高…

精神医学

精神科医に最も影響力のある診断マニュアルDSM (Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、精神障害の診断と統計の手引き)*1は、アメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)が定めている。 現在は第四版の修正版(DSM-IV-TR)…

「非社会」の診断(参照)

03年には、不登校の4割が広汎性発達障害だと診断された。 07年の調査では、67%が高機能広汎性発達障害だとされた。(杉山登志郎・談、『ビッグイシュー』130号より) 自分たちが死んだあとの子供の延命を望む親御さんの一部は、「長期にひきこもる人…

社会参加の臨床と、つながりかた(レジュメ)

16日、貴戸理恵氏の特別講義にゲストでお邪魔しました*1。 場所は関西学院大学(大学院)。 以下は、当日配布した資料のごく一部と、関連する話題です。 誤りやご意見等がありましたら、ぜひご指摘ください。 *1:たいへん貴重な機会でした。 お招きくださっ…

「第173回国会 予算委員会 第3号 平成21年11月9日」(参議院会議録)

○島田智哉子君 温かい御答弁ありがとうございました。 次に、引きこもりなど、子供、若者に対する支援策についてお聞きをいたします。 さきの通常国会におきましては、当時の私ども野党と与党の修正協議によりまして、子ども・若者育成支援推進法が成立をい…

『A Research Agenda for DSM-V』の全文(無料)

DSM-V研究行動計画作者: デイヴィッド・J・クッファー,マイケル・B・ファースト,ダレル・A・レジエ,黒木俊秀,松尾信一郎,中井久夫出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2008/07/24メディア: 単行本購入: 16人 クリック: 224回この商品を含むブログ (10件) を…

自己検証がないという暴力

継続的に攻撃を加えられると、とうぜん心身に異常が出てくる。 (略) まさしく「精神的な殺人」がおこなわれるのである。嫌がらせや軽蔑、侮辱がくりかえしおこなわれれば心身の調子がおかしくなるのは当たり前のことであり、孤立させられたり集団でいじめ…

コミュニティの形をした支援

支援対象者のナルシシズムを守ることにおいて、支援者のナルシシズムが守られる。 この相互承認の繭(まゆ)が最優先で、あとの問題意識はすべて抑圧される。 現状に疑問をもつと、疑問をもった者が排除される。 関係性のスタイルの押しつけこそが、思想の押…

正義の自己顕示に終わる関係性ではなくて、《つながりかた》を問うべき

マイノリティ*1を受け入れる人は、その「受け入れようとしている」という態度でナルシシズムに浸るので、関係のディテールに再考察を迫られることを拒否することが多い。 「受け入れようとする」という、その一方的な態度じしんが生み出す抑圧もあるというの…

性愛は、商品売買ではなくて、コミュニティ形成活動

商品市場では、成功したかどうか(売れたかどうか)だけが問われる。 つまり、成功の量的側面だけが問われる。 同じことが、性愛で起こってしまう。 《つながりかた=質》が問われないで、《つながったかどうか=量》ばかりが喧伝される*1。 社会参加やコミ…

結果と手続き

コミュニティでは、結果的な意見そのものというより、「そういう方向で考えるしかない」というスタイルの支配がある。 表面的には反論していても、「どういう方向で考えるか」については、支配は終わっている。 【追記】: これは本当に恐ろしい話だ。 全体…

政治力のなさ自体が歴史的

焦点はコミュニティの問題だが、既存の共同体主義はうまくいかない。 とにかく伝統を大事にするとか、単につながろうとしてもダメで、むしろ《つながりかた》が難しい。どういう方向で、何を重点的に考えればいいのかとか、そのレベルにすら合意がない。 そ…

しぶとさ

勉強と試行錯誤を続けながら、問題意識を洗練させていくしかなくて、 らせん状にしぶとくやっていくしかない。 直線的な優等生にはムリ。

考えてしまっていたこと

iPS細胞というのは、「受精卵 → 体の細胞」を逆にしたようなもので、 たとえば皮膚の細胞から、どんな臓器にもなる万能細胞が作れるらしい。 考えてしまったのは、これの物理学バージョンはできないだろうか、ということ。 晩年の芥川龍之介は、「神も希望通…

TV番組「人体再生 iPS細胞 山中博士の挑戦」*1

深い感銘を受けました。 「本人の皮膚から、全身のパーツをどれでも創りだすことができる」という夢のような話 外国と比べ、はるかに劣悪な研究環境(参照)で成果を出した 近隣国でのデッチ上げ事件など、自分に責任があるとは言えないことで苦しめられた …

《社会性》をどう設計するか

わかりやすい宗教の実体名ではなくて、生きようとしている社会性のスタイルの違いが、以前でいう「信仰のちがい」みたいになっている。 その意味で信仰の違う、つまり社会性のスタイルの違う相手と同席する拷問。 相手の誠意が、私にとっては許しがたい裏切…