「こんな話が美談みたいに語られるのは、なんかおかしい。」(id:using_pleasureさん) 【はてブ】

「工賃は1個1円、月給が4〜5千円」という、労働基準法に違反すると見える労賃が問題とされている。しかし引きこもり支援の実際からすれば、労基法に見合うだけの賃金を払えば、ひきこもり当事者の多くは恐がって出てこない。 内田樹氏の議論とは真逆に、ひきこもり的心性においては、「自分の存在がかけてしまうかもしれない迷惑」が極大の不安になっている*1。 労働現場に「平均賃金」をもらって参加などしてしまえば、自分のかけた迷惑による心理的・経済的負債は返済不可能なまでに膨れ上がるだろう。 働けば働くほど、この負債は大きくなってゆく。――そういう制御不能の「負債恐怖」から、お金の絡む労働現場に恐怖症的に参加できなくなっている事例は多い。
矛盾するようだが――じっさい矛盾しているのだが――、妄想的なまでに膨れ上がった「加害恐怖」は、具体的な交換・贈与関係の検証を欠いており、だからものすごい迷惑をかけていても、それに平然としていられる「鈍感さ」と両立したりもする。 ▼適応強迫による過剰な内面疎外が、対象関係(クライン)の現実的検証を不可能にしている。それは同時に、具体的な行動のための動機づけをスポイルしてもいる。 ▼だからこそ、「ちゃんといいかげんに生きよう」(玄田有史)、「神様以外、人間はみんな障害者」(二神能基)といったメッセージに、一定の効果が期待される。

    • 詳しい事情をうかがいたくて、記事元である中國新聞社にメールと電話を試みたのだが(2月初旬と4月中旬)、ついに記者の方には連絡が取れなかった。▼取材対象となっている支援者に直接連絡を取ることも考えたが、ネット上で批判的な槍玉に上がっていることをお知らせするのが致命的に思え、断念した。▼あくまで一般論だが、私がこれまでに見聞した「ひきこもり支援」の現場(それも取材をOKするような人たち)は、多くが「赤字・持ち出し」で成り立っている。
        • トライアルジョブがわかりやすいが、実際のニート・ひきこもり就労支援においては、労働行為があるとはいえ、それは「労賃をもらう」というよりも、「迷惑をかけながら無償で訓練してもらっている」に相当する。






*1:よく知られるように、対人恐怖の多くは「加害恐怖」である。