社会資源としての単語

 PTSDは現在、DSM-Ⅳ(ISBN:0890420254ISBN:4260118862)にも記載されている「精神疾患」だが、これは「差別」のためではなく、そもそもはベトナム帰還兵たちが社会保障を獲得するために設定されたカテゴリーだった。
 PTSDはまさに「論争を呼ぶ物騒な単語」なわけだが、「ひきこもり」という単語の命運がどうでありどうであるべきかについては、考える必要がある。
 私は「ひきこもり」という単語を通じて何ができるのか、と考える。知人との会話で痛感したのだが、なぜ引きこもりのシンポジウムには経済や政策に詳しいパネラーが参加しないのだろう。「ひきこもり」というのはものを考える時の一つの枠組み。あらゆる問題やテーマがそこになだれ込む。
 単純に言ってひきこもりには「精神的側面」と「経済的側面」の問題がある。心理学だけやっていても始まらない。