年齢差別 ――アメリカと日本

 sivad さんが引きこもりに関連して「年齢差別」に触れてらして、これは大事な話。
 アメリカではAARP(the American Association of Retired Persons、全米退職者協会*1)というNPO団体(といっても会員数3500万人!*2)の運動で定年退職制度をふくむ年齢差別が禁止されたようで(履歴書で年齢記入を強制してはいけない、というか最初から記入欄がないらしい*3)、日本でも同種の団体を構想している方がいらっしゃるようですが、NPO法の違いなどもあってなかなか難しいらしい。

 AARPは社会運動と非営利事業体との複合です。エセル・パーシー・アンドラスさんという一人の女性教員が経験した、定年退職した高齢者に向けて社会がひどく「年齢差別」をしているという現実への憤りが生み出した社会運動としての側面と、市民事業体を起こして自分たちで問題を解決していこうという起業家的な精神とが合体したところに、そのルーツを持つ、まさにアメリカ的なNPOなのです。 (国際交流基金日米センター・ニューズレター

 日本の国家予算のうち税収入は52%であり、残りの48%は借金だという。年金も保険も破綻が予想されている現在、社会福祉に期待することにどれだけ現実味があるだろうか。前から『当事者主権』ISBN:4004308607 を取り上げつつ言っていることだが、単に「年齢差別」という問題にとどまらず、AARPは参考になるのではないか。
 ひきこもりを、少子高齢化という話と結びつけるとよいのかもしれない。
【付記▼関西の中学校では、教職員の年齢構成があまりに高齢化(20代・30代がほとんどいない)していて問題になっているという。】
【付記2▼「年齢差別」の撤廃は、同時に「実力主義」の徹底でもあると思うので、実はかえって厳しくなるのかもしれない。】





*1:http://www.aarp.org/ 名称が変わった、っていうんだけど、単に「AARP」っていうのかな?

*2:「50歳以上」が入会条件なのだが、アメリカの50歳以上の約半数が会員。

*3: 求人広告に「30才以下」「昭和○○年から××年までに生まれた者」などと書かれるのは日本では普通だが、これはアメリカでは違法になる。仕事をする能力があるなら年齢は関係ない。年齢で条件をつけてはいけない。履歴書に生年月日を書かせるのも法に触れる。年齢のみを基準とした定年制も、警察官、消防士などの場合を除き、違法になる。
 1967年に制定された雇用における年齢差別法(1967 Age Discrimination in Employment Act (ADEA))が、40才以上の人への採用、昇進、給与、解雇、退職その他での年齢差別を禁じている。アメリカではこの他、人種、民族、宗教、性などでの差別禁止規定が厳しく、履歴書には人種・民族はもちろんのこと、性別・年齢も書かれない。人種・性別がわかるから写真も添付されない。人種も歳も性別もわからず純粋に職業能力(学歴、職歴、資格など)だけで採用を決めなければならない(面接をすればある程度わかるが)。
 平等雇用機会局(Equal Employment Opportunity Commission (EEOC))が雇用上の差別を取り締まる連邦機関。(以上、この注は http://www.myticket.jp/SFO07.html より)