現代において決定的に重要な問いかけは、おそらくたった一つしかない。
 「リアルとは何か」という問いかけである。 (斎藤環『フレーム憑き』ISBN:4791761189 p.7)*1

  • 彼は≪「リアルとは何か」という問いかけ≫こそが(自分にとって)最もリアルなのである、と言っている。 しかし言うまでもなく、「リアルとは何か」以上に(本人にとって)リアルな問いを抱えた人はたくさんいる。 【メタとベタ、か。】
    • フロイトは「心的現実」を扱った。 しかし一方で、「人間社会を動かす動機は、究極的には経済的なものだ」とも語っている*2


  • 経済に関する議論は、「自意識の想像的きらめき」を生まないし、「政策立案に関わるわけでもなく、株をやるわけでもない」自分には勉強のモチベーションがよく見えない。 しかし、現実について考えるためには必要な議論のはず。
    • 経済学者の宇沢弘文氏は、10代のころ医者を目指していたらしい。 しかし「経済学者は社会の医者だ」という言葉を聞き、経済学部に進路変更したとのこと。 → 「苦痛緩和」を至上命題とする僕にはとても興味深いエピソード。
    • インテリが趣味として量子論を勉強することはあっても、量子論の発展そのものに貢献することは絶対に不可能。 それと同じように、「趣味としての経済学」はあり得ても、政策立案に貢献できるほどの専門的習熟は不可能に思える。
    • 解説書や入門書はあふれているが、「勉強を動機づける」ことがいちばん難しく喫緊の課題ではないか。 ―― そう語っている僕自身にも、「ひきこもりの苦痛緩和」のために経済学の勉強がどんな内的必然性を持ち得るのか、いまだによく見えていない。 つまり「勉強のリアリティ」が見えていない。 同じことは他の学問にも言える。




*1:斎藤環氏より最新著書を贈呈いただきました。 ありがとうございます。 しかし映画・アニメ・漫画に愛着を持たない僕には、ほとんど読めないかも…(泣)。

*2:精神分析入門』ISBN:4102038051、p.401