「置いてきぼり」の社会学

 友人が教えてくれたのだが、人文學報という雑誌に「失業,社会学的対象の誕生」という論文があって、これはいわば「失業」が社会学的に「発見」された頃のことを問題にしているらしい。1880年にはフランスで『怠ける権利』という本が出版されていて、この辺でなされている議論は現在の「失業/ひきこもり」論に通ずるのではないか。(詳しい方おられましたらぜひご教授ください。)
 何年か前、ビートたけしの「ここがヘンだよ日本人」というTV番組でホームレスを取り上げた際、スタジオに参加された失業者の皆さんが外国人パネラーたちから「働け!」「怠け者!」とメチャクチャに蔑まれていた。実はこの番組からは「“ひきこもり”をテーマに2時間特番をやりたいんだが出演してくれる人はいないか」というオファーがさる親の会にあったらしいのだが、きっぱり断わったらしい。断わって正解だったろう・・・。
 アメリカではホームレスになっても飢え死にすることはなく(施設の治安は悪いと聞いたが)、無料で職業訓練なども受けられるらしい。「10年前はホームレスだったが今は会社社長だ」というのは実例がゴロゴロあるようだ。日本では年齢差別のほか、「住所不定では就職できない」「履歴書にブランクがあると雇ってもらえない」といった問題が決定的だが、アメリカには「再チャレンジ」のチャンスが沢山あるということか。――しかし、これだけひどい不況のもと、高齢者を雇用する冒険のできる企業はないのではないか。
 そういえばある知人女性は「年をとったら外国に住みたい」と言っていた。「日本では、30歳をすぎた独身女性はものすごく生きにくい」。