弱者カテゴリーと規範闘争

小田: あのころの新左翼思想は、労働者と農民に依拠して革命をなそうとした。 ところがいまや労働者も農民も・・・・
三浦: 貴族になっちゃった。
小田: そう、中産階級になっちゃった。 革命の原動力にはならない。 したがって、その中には入らないホームレスや犯罪者や少数民族、場合によっては精神障害者、そういうひとたちの反市民社会的なバイタリティに依拠して革命をおこそうと考えた。 その邪魔になりそうな精神医療、教育、家庭の規範力を失わせることが、彼らの価値観に合致した。

社会には弱者があり続けるので、「反市民社会的なバイタリティ」を仮託する対象は、カテゴリーを組み替えながらいくらでも調達できる。 ▼ただし、そういう運動論を単に揶揄すればいいとも思えない。 ベタな抵抗運動は、実際の弱者には必要な局面があるはず。――問題は、そういう運動論がつねに暴力的に硬直化してしまうこと。