2007-03-25から1日間の記事一覧

公正な当事者論と《去勢》――「欲望の道」かつ「作戦遂行」

【本書の直接の内容とはやや離れた、抽象的な議論になるが、「ひきこもっている人を擁護するかどうか」ということと、それにまつわる当事者や支援者の《去勢》というテーマについて、少しだけ今の私の立場を書いてみる。】 「他者の存在(生命)を無条件に肯…

さらにいくつか

支援者として承認される基準は? 執筆者の一人である山田孝明氏(「情報センターISIS」ネットワーク代表)は、親御さんに相応の対価を要求して活動を続ける「支援者」の一人。 ひきこもっている本人に、外部世界との関係を作り出しているのであり、その意味…

「全面肯定」のイデオロギーと、「オルグ」的支援契約

芹沢俊介氏が一部紹介しているように(p.234-5)、「ひきこもりの全面肯定」は、実際に一部の当事者に肯定的影響を持つのだと思う*1。 それは、「無条件に承認される」という呼びかけに応じて、承認イデオロギーの繭(まゆ)の内側に出てきたにすぎないのだ…

スケープゴートとしての斎藤環

斎藤環氏は、本書では非常に無造作に、死亡事件を起こした団体の責任者と並び称され、非難されている*1。 斎藤氏は、「初期と比べて考えが変わってきた」と自分で語っているが*2、彼の出発点が、ひきこもりへの過剰な否定を含んでいたとして、その後の変化の…

親がひきこもってしまったらどうするのか。

冗談のように聞こえるかもしれないが、これは「対等な交渉関係」という原理的な部分を確認するためには、どうしても必要な論点になる。 実際、親御さんの一部は、金銭的・精神的に追い詰められ、倒れたり亡くなったりしている(一部は自殺と聞いている)。 …

ひきこもりを全面肯定する資金は誰が出すのか。

ひきこもっている人への援護射撃として、「全面肯定」というスローガンが有益な局面はあると思うが、その構図自体を硬直させてしまっては、その後の家族内での話し合いが成り立たない。 ▼そもそも「全面肯定」は、「それをすれば本人は社会復帰してくれる」と…

 『引きこもり狩り』について 1

『引きこもり狩り―アイ・メンタルスクール寮生死亡事件/長田塾裁判』について 2006年4月、ひきこもりを「支援」するはずの施設で起こった死亡事件(参照)を受け、さまざまな経歴を持つ6人の原稿と、緊急シンポジウムの記録が掲載されている。 細かく読めば…