「再帰性」と流動性不安

宮台真司アンチ・リベラル的バックラッシュ現象の背景

 社会学のオーソドックスな枠組みから言うと、ジェンダーフリーは、ジェンダーレスではありません。 ジェンダーレスは「社会的性別の消去」だけど、ジェンダーフリーは「社会的性別に関わる再帰性」であって、「ジェンダーフリーだから、ああしろ、ここしろ」という直接的メッセージは本来出てきません。 まあ、再帰性という概念を知らない無教養者の中で、後述するような不安な層が騒いでいるだけの話です
 しかし、不安こそは、すべてのバックラッシュ現象の背後にあるものです。 「流動性不安」すなわち、過剰流動性による不安です。 過剰流動性ゆえに、自明性への疑いが出てきて、アノミーすなわち「前提不在による混乱」に陷るのです。

このインタビューが掲載された『バックラッシュ!』には、
再帰性について次のように説明されている

 ジェンダーフリー再帰的だとは、男女に同じ振る舞いを期待するというより、どんな期待ももはや自明ではないという意識とともに期待がなされるからだ。 そこでは選択への期待の前提もまた選択されている。

これでは、考え始めたら収拾がつかない(底が抜ける)。