「症状」 symptom, sinthome (ラカン)

精神分析事典』p.194

 ラカン象徴界想像界に対して特別の関係にある現実界に関心を示し、症状は、医者そして医学的知にとって通常機能しているような意味での、器官的機能不全の徴候に限られるわけではないと指摘している。 「症状は現実界から来る。それは現実界なのだ」。
 ラカンはこの考えをさらに明確化し、「症状は現実界の中に現れる象徴的なものの効果である」と説明する。 1975年に彼は、症状とは、人びとが持っているもののなかで最も現実的なものだと補足している。 症状は、想像界とはわずかしか関わらないがゆえに、意味作用に属する真理ではない。 症状が「人間の現実に固有な本質」であるなら、精神分析治療とはいかなる場合も、主体の構造の効果としての症状を廃絶することではない。

主体という構造がある限り、症状は廃絶できない。