「恋愛できるのが人生」?

高校生向けの性教育としての「ピアカウンセリング」(思春期ピアカウンセリング)の実際について、看護大学の先生による講演と、教え子である大学生たちによる実演(聴衆である養護教諭たちを高校生に見立てる)があった。 ▼ピアカウンセリングというのは、年齢の離れた大人の教員が権威をもって性教育を行なうのではなく、「普段着を着た年の近い大学生たち」が、同世代の感覚と体験情報で(ミーティング形式などを交えながら)性愛の授業を行なう、というもの*1
覚悟を決めて聴講したが、大変キツイ時間に・・・。 ――このプログラムには、「恋愛もセックスもできない人生」を肯定するためのメッセージが、含まれていないように感じた*2。 これでは、「できない」という自意識は、自尊感情を低下させる一方では・・・?
40代日本男性の10%は童貞」という記事もあるが、「学校に行かない人生」「労働できない人生」が肯定されていいように、「恋愛できない人生」についての情報も、教育に必要だと思うのだが・・・*3



*1:実際のピアカウンセリング参加者(高校生)の感想文

*2:授業では「ライフライン」といって、自分の人生の浮き沈みを線で描く作業をやらせるのだが、「一生恋愛できない」というケース想定はないように思われた。 ▼個人的には、この線描課題自体がものすごく残酷に感じたのだが・・・。 耐え難い記憶や絶望を、どう表現したらいいのだろう。――いや、むしろそういう描出によって、「自分の人生は、案外大丈夫かも」と思えるだろうか。

*3:不登校を肯定する場合と同じく、「恋愛できない人生」を肯定すべきだからといって、恋愛できる人生を敵視する必要はないし、人生のある時点から恋愛を楽しんだってもちろんいいはず。 ▼私だって、明日からどうなるかわからないし。