「制度論的精神療法」



三脇康生


上山和樹です。


ドゥルーズガタリをほとんど読んだことがなく、かつもう何年も思想系の議論から遠ざかっていた私は、『精神の管理社会をどう超えるか?―制度論的精神療法の現場から』の議論になかなか入っていけず(すみません)、悩ましかったのですが、最近知人から贈られた『図書新聞』(2000年5月13日、第2485号)掲載の三脇さん・杉村昌昭氏の討論を、とても興味深く――というより少し興奮しつつ――先ほど拝読いたしました。

  • 「超越的−超越論的」に対応する、「制度的−制度論的」
  • 「一方的な権力批判ではなく、各人が制度分析をし、自分の役割に対して自己分析をする」
  • 「(イベントの多さや資本主義的使命とは別の形で、)病院の活動性を上げる」
  • 「(単に制度的立場を降りるような)ナイーブな降り方はいっさい許されない」
  • 「前向きの想像力と後ろ向きの想像力」
  • 「“芸術療法”は存在せず、存在するのは芸術だけである」
  • 「単なる医療化社会を超えるために、社会で複数の制度分析の出会いをどのように生じさせていくのか」

こうした論点に、いちいち「我が意を得たり」でした(などと言うと僭越でしょうか・・・)。


三脇さんが「精神科医」「大学の先生」というお立場でありながら、何の肩書きも学位も持たない「ひきこもり経験者」でしかない私と、対等にお話する機会をくださったのは、「制度論的精神療法」というお立場やお考えがあってこそだったのではないか・・・・、と愚考いたしました。(もちろん、「制度論的精神療法」が何なのかは、まだよくわからないままなのですが)