再帰性の牢獄――自己再生産的な傷

虐待やいじめでは、外傷的要因が外界そのものにあるが、ひきこもりでは、「底の抜けた再帰性」が外傷のメカニズムに関わる。 流動性を過剰にせき止めようとする、強迫的で無際限の再帰自己批判。 欲動興奮的でも侵襲破壊的でもない*1、「終了できない自己批判*2自傷的ドライブ。

    • 現実を現実でなくしたい」という苛烈な夢
    • 現象経験を「合理化・必然化・人工化」し尽くそうとする
    • 自分の確保した現実を流動化しないように死守する、その死守が強迫化している

――こうしたことが、現実逃避そのものを形作る。
外界や他者への憎悪と恐怖。







*1:この区分は『外傷性精神障害―心の傷の病理と治療』の岡野憲一郎氏による。

*2:「終了できない自己批判」は、けっきょく現実的には自分を批判していない。 「無限の自己批判」のアリバイにおいて、メタに自分を温存している。