和樹と環のひきこもり社会論(49)

(49)【Re: 軌道修正のお願い】 上山和樹

 実は、私がここ最近のやりとりで斎藤さんにお願いしていたのも、まさに「軌道修正」だったんですね。でもそうしたら、話がぜんぜん通じなくなってしまった。斎藤さんにも、ほかの皆さんにも。
 「質問に答えていないじゃないか」と言われてしまった私の前便は、じつは編集部から何度も「内容を理解できない」と言われ、一からの書き直しをくり返したものです。どうしても理解されず、思い切って「わかりやすく」したら、今度はルール違反とされてしまった。正直なところ、途方に暮れています。
 ここはもう、直接的な説得はやめて、「なぜ話が通じないのか」を考え、その作業を共有いただくしかありません。どうかお許し下さい。
 斎藤さんは、私の議論を「反則だ」とおっしゃるのですが、ひきこもりにおいては、まさに何がルール違反で何がそうでないのか、「順応」をめぐる問いこそが問題となっているはずです。私は、斎藤さんの議論につき合うことが苦しく、その議論の前提自体について、問題にし始めたのでした。(無理やり社会に順応するのではなく、社会のルール自体を考え直してみるように。)
 私から見ると、斎藤さんのひきこもり論はすでにスタイルが決まっていて、そのスタイル自体に問題があるように見えるんですね。結論としてのアイデアがどうこう以前に、アイデア生産の方針自体が間違っているとしか思えなくて、私としてはそこから考え直さないと、仕事をしたことにならない。ところが斎藤さんからすれば、逆にそんなふうに考える私こそが仕事をしていないように見えるのではないでしょうか。「仕事をする」とは、ふつうは最初に設定されたルールどおりに取り組みを進めることですから。
 今回の私は、単に元の議論プログラムに戻ろうとするのではなく、「なぜ話が通じないのか」自体について、検証しようとしています。――斎藤さん、こういう作業こそ、ひきこもりで苦しんでいる現場に必要だと思いませんか? 私は今回、新しいアイデアを説明しつつ、実際にそれを試みているのです。