「制度 institution」

三脇康生氏の論考「精神医療の再政治化のために」に付された注より引用*1

 「フランス語の institution という語の用法は次の二つに大別できる」と教育学者の岡田敬司は言っている。*2

  • (1) 子供を教育する行為、家族を設定する結婚の行為、ある集まりやある規則を設定する行為 action d'instituer などが institution (設定・設立・制度)と呼ばれる。
  • (2) 抽象的、普遍的な規範、あるいは具体的な社会機構、社会組織など、設定されたもの chose instituée が institution と呼ばれる。

 日本では二番目がよく知られているがフランスではむしろ一番目がよく知られているとしている。 そして、制度のことを考える目的は、「制度を生きたもの」にし、「永劫不変の真理に腰をすえるよりは刻々の意味の生成に立ち会おうとするものである」としている。

この「制度 institution」理解が、ジャン・ウリ、フェリックス・ガタリらの唱道する「制度論的精神療法」に関わるらしい。
ラカン的な「分析の語らい(discours analytique)」と、ガタリ的な「制度論的分析(analyse institutionnelle)」の相違とは。







*1:ガタリ他『精神の管理社会をどう超えるか?―制度論的精神療法の現場から』p.141掲載

*2:以下の引用は、日本教育社会学会『教育社会学研究』43 (金子書房1988年) pp.123-135、岡田敬司氏の論考から と記されている。