生田武志氏講演会@「カフェ・コモンズ」 参加 (15日)
コモンズ1周年記念イベント:
『ひきこもり/野宿者〜2つの「ホーム」レス』
- 作者: 生田武志
- 出版社/メーカー: 人文書院
- 発売日: 2005/12/01
- メディア: 単行本
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ひきこもっているご本人や経験者で、「自分は近々ホームレス*1になってしまうのではないか」と思っている人は多いと思う(ネット上でもオフラインでも、そういう心配がリアルに語られる*2)。 社会参加の能力を持てないまま高齢化し、親の扶養能力がなくなれば、数十万人のひきこもりはそのままストリートに投げ出されるしかないように思える*3。
生田さんの講演では、60代の現役ホームレスの日常を取材したビデオが上映されたが、「1日12時間 足を棒にしてアルミ缶を集めても、1200円にしかならない」という現実*4、しかも収拾をめぐる熾烈な生存競争を、ヤワなひきこもり経験者が生き抜けるだろうか。 【その状態になったら、自分はそれをあえて支えようとするだろうか、それとも自死を選ぶだろうか。 「とてもできない」と思っても、実際にそうなってしまったら、チャレンジしてしまうものだろうか。――そういうことを、しきりに考える。】
『「野宿者襲撃」論』には論じたいモチーフがいくつもあるが、ここではご講演も含めて少しだけ。
- 政府に頼らない「NGO(Non-Governmental Organization)」、市場に頼らない「NPO(Non-Profit Organization)」があるなら、家族に頼らない「NFO(Non-family Organization)」があってもいいのではないか。
- 「ホーム」を《居場所》と考え、「ハウス」を物理的な《家》と考えれば、「ハウスがあってもホームのない人、ハウスがなくてもホームにいる人」*6という理解ができるだろうか。
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- 「ひきこもり」と「ホームレス」を掛け合わせて論じる作業は、ネット上ではいくつか見つけることができる。
- 『ミッドナイト・ホームレス・ブルー』
- 『ひきこもり 〜無職。無資格。低学歴。』
- 『寿支援者交流会』 「ひきこもりと野宿生活者」(2004年10月9日)、 「ひきこもりと野宿生活者2」(2005年2月20日) ▼「ホームレスとひきこもりの当事者同士の対話イベント」を試みられたと聞いている(会報に、栗田隆子氏のレポートがある)。
- 「ひきこもり」と「ホームレス」を掛け合わせて論じる作業は、ネット上ではいくつか見つけることができる。
「最初の第一歩」というわけではないけれど、「カフェ・コモンズ」という場所で、生田武志さんの講演会が開かれたというのは、喜ぶべき大きな事件だと思う*7。 性急にしんどさをすり合わせるのではなく、共有すべき分析的なモチーフを、時間をかけて模索したい。
*1:生田氏のご本では、「ホームレス」ではなく「野宿者」という言葉が提案されている。 英語の「homeless」は、「住居を失った状態全般」を指すため、たとえば震災で家を失った人も「homeless」になる。
*2:【参照】: yodakaさんの感想(今回のイベント参加者)
*3:「欧米では若年無業者の問題は、ひきこもりではなくヤング・ホームレスの増加となって現れている」(斎藤環氏、GLOCOMでの講演より)
*4:【参照】: 「アルミ缶350個 = 1kg = 100円」 ▼生田さんのご本には、このほか「ダンボール1kg=5円」と紹介されている(p.201)。
*6:同書 p.156-7
*7:関係者の皆さん、お疲れ様でした。 終わってからの議論も、とっても楽しかったです。