経験者 ① さん: 「仕事を継続してゆくにはどうしたらよいか、アドバイスが欲しい」

前回 ① さんが提供された話題は「親が倒れたらどうしよう」ということだったそうで、今回も「労働」に関することです。「続けて働く」ことの難しさ。
僕は雑誌『諸君!』6月号の斎藤環さんの対談を取り上げ、将来性のないフリーター稼業、「キャリアも技術も蓄積できない」働き方は年齢とともにジリ貧、といった話。「働くつらさと死を天秤にかける」みたいな話もしました。
ある方からは「契約社員の形で働く人は、本人に続ける気持ちがあっても切られる」という指摘。


① さんに限らず、今回は労働や経済の話を持ち出した方が多かったようです。
「完全に閉じこもっていて外界との接触がまったくできない」みたいな人の問題と、「それなりに外界接触や対人関係もあるが、就労ができない」人の問題は、分けて考えるべきだと思います。いわば「当事者」と「経験者」の違いというか( → 田中俊英さんの『kid』でなされた田中俊英×金城隆一×永冨奈津恵の鼎談参照)。【★ひきこもりについて、「当事者」「経験者」、さらには「共感者」というふうにカテゴリを分割すべきということか。】
完全閉じこもり状態の人にいきなり労働の話というのは非現実的なのですが、ちょっとでも外界と接点が出てくれば、そこからは結局は「どうやって働けるか」という問題になる。するとそれはもう、個人レベルの心理の話だけをしていても埒があかない。――そういうことだと思うんですが。
何度か触れたことですが、これまでは引きこもりについてシンポジウムなどをすると、パネラーの「専門家」は精神科医とカウンセラーばかりだった。つまり「個人レベルでどうするか」という話ばかりだった。しかし引きこもりというのは社会現象でもあるし、「働く」という観点で考えればもっとマクロなレベルも論じる必要があると思うのですが、いかがでしょう。