説得、権力、環境管理

  • 説得に成功した時にしか効果が現れない臨床活動がある。 するとこの活動は、「作品づくり」や政治説得に近づく。
  • ある精神病院のデイケアサロンでは、患者さんが料理をつくる。 このとき、患者さんに指図するのではなく、「誰が作ってもおいしく作れる調理器具」を用意することで、患者さんのやる気を維持し*1、臨床効果につながったという。 これは、東浩紀氏が言うのとは別の意味での、臨床活動としての「環境管理」であり、精神病院にかぎらず、あらゆる生活や労働の場に適用できる。
  • すでに生きられている権力や思い込み*2に対して、「それではダメだ」という介入を行う場合。 作品提示や政治説得を行なって、それが結果的に失敗した場合は、次のいずれかになる。
    • (1)放置することで相手を見殺し 【自分に権力がある】 法的には不作為を問われかねない
    • (2)放置して自分が泣き寝入り 【自分に権力がない】 第三者の介入を求める
    • (3)環境管理(制度設計)で、気づかれないまま改善する 【環境への介入権力】 政治活動




*1:自分の作った料理が、いろんな人から「おいしいよ」と言われるのだ

*2:ひきこもっている人は、社会全体からみれば圧倒的に弱い立場だが、扶養を押し付けているという意味で、家庭内では権力になっている。 また、精神科医斎藤環や、社会学者の渡邊太は、「抜け出せないひきこもり」をカルトとの関係で考察している(参照1)(参照2)。