(1) 「新世代抗うつ剤のSSRIが社会不安障害にも有効として保険で使えるようになったので、SSRIを扱える専門医の研修指導を」(KHJ親の会)

高岡健氏の反論:

 研修指導などをする以前に、製薬会社の巨大な宣伝力によって、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、すでに乱用されている。 引きこもりの親の会が主張すべきは、SSRIの乱用と社会不安障害(伝統的診断名では赤面恐怖や対人恐怖)という診断名の乱用に、警鐘を鳴らすことだ。 (p.145)

貴重なご指摘。
KHJの奥山雅久代表が「社会不安障害SSRI」を提唱するのは、「病気でも障害でもないひきこもりは、医療化されなければこのまま見殺しになる」という危機意識からだが*1、数十万人規模のひきこもりについてその見解がスタンダードになってしまえば、製薬会社にとっての利潤の温床になり得る。 逆に言うと、製薬会社に恩恵をもたらすようなアプローチの枠組みを用意しなければ、ひきこもりは社会的には見捨てられる、という主張なのだと思う。 ▼しかし、「社会的ひきこもり」そのものには、薬は効かないとされている【参照:「物質による動機づけ」】。 SSRIは、選択肢の一つとしてはもちろん残るべきだとして、万能薬のような扱いにはじゅぶんな警戒が要る。
イチョウ葉エキス」もそうだが、「薬を飲めば治る」という発想には、非常にヤバイものを感じる。 「もうどうもにならない」という絶望が、可能なあらゆる選択肢を試させている薄ら寒い印象すらある。





*1:講演などで発言されている