「なにもしない」 Doing Nothing

働かない―「怠けもの」と呼ばれた人たち

働かない―「怠けもの」と呼ばれた人たち



冒頭は、「何もしない自分の息子」に著者が激怒してしまい、そのことに自分でショックを受けるところから始まる。

 それでもこの瞬間の私は、彼にのしかかる重圧を思いやることはできなかった。 なぜなら、そうと気づいたときにはショックだったが、私はあまりにも怒りすぎていたのだ。
 これは最大の驚きだった。 私自身、癇癪もちの父親が急に激怒するのをかわしながら成人したから、親としてのキャリアをスタートするとき、子供には即座に怒りをぶつけないよう決意したし、おおむねそれを実行できていた。 (中略) だから、息子が来る日も来る日もカウチに寝そべっている光景が、自分を怒り狂わせると知って、ショックを受けたのだ。
 それは本能的な全身反応だった。 (中略) どうしても怒らずにはいられなかったし、その怒りが私には理解できなかった。 ただただうまく隠せていることを願った。
 この怒りはなぜ生まれるのだろう? 息子が時間を無駄にしているからなんだというのだ?