黒沢清『アカルイミライ』

映画論的なことは何も分からないが、
有田家のリサイクルショップ店内で藤竜也オダギリジョーが言い争うシーンを観てから、興奮してしまって、あとのシーンをあまり覚えてない。(正直に告白すれば、部屋で観ながら独り言で関係ないことを怒鳴ったりしてしまった、深夜なのに。)
【※ネタバレの困る人は以下の記述注意。シナリオ引用もあります。】


・有田の親父(有田):藤竜也
・井村:オダギリジョー

有田: クラゲ、きれいだった。 でも、それでどうなる? 何か現実が変わるの? 少しでも自分の思い通りに、なるの?
井村: 知らないよ! ほっとけよ!
有田: ほっといたら君はこれから、どうなるんだよ!
井村: ほっとけよ!
有田: ほっとけないんだよ! もう、じれったくてしょうがないんだよ。 ね。 どうして君はこの、目の前を見ようとしないの? え? どうしてこの現実をさ、見ようとしないんだよ。 薄汚くて不潔だからか? そりゃ君失礼だぞ、おい。 この現実はな、私の現実でもあるんだよ! 君がないがしろにする権利なんか、ないんだよ、ばか者!
(逃げる井村)
有田: 逃げるのか、よし、逃げろ! 逃げろ逃げろ! どこに逃げるんだそれで。 え、井村君、どこに逃げる! 君が逃げ込める先はな、2つしかないんだ。 一つは夢の中! 二つ目は刑務所の中だ! いいか!

僕は上記のやり取りは、そのまま引きこもりの家の中のやり取りとして聞いて、泣いてしまった。
単なる説教に見えて、ギリギリでそうじゃない気がするんだが。

「どうして君はこの、目の前を見ようとしないの? え? どうしてこの現実をさ、見ようとしないんだよ。 薄汚くて不潔だからか? そりゃ君失礼だぞ、おい。 この現実はな、私の現実でもあるんだよ! 君がないがしろにする権利なんか、ないんだよ、ばか者!

なんで泣いたんだ。 なんか俺の罪悪感に抵触した。