しかし、

私が危惧するのは、次のようなことです。


現状では、「ひきこもり当事者に犯罪が多い」というのは、―― 統計的に―― 明らかな偏見です。
1988年の連続幼女殺人事件により、かつて「犯罪者予備軍」のように見られた「オタク」のひとたちは、しかしその旺盛な経済活動――漫画・アニメ・フィギュアなどの独自の流通経済――によって見事に社会参加を果たし、今ではそのソフト産業は「日本の誇り」とまで言われている。
「ひきこもり」に、同じような起死回生の道はあるでしょうか。


このまま社会参加の道を作れず、親の扶養能力がなくなれば、どうなるか。
今は家の中にかくまわれている引きこもりが、社会参加のスキルも回路も持たないまま、大量にストリートに溢れ出すのではないか。
もともと、外界とのコミュニケーション能力を持たないのですから、就労や、ましてやホームレスの形で生き延びられるとも思えず、多くは死に至るようにしか思えません*1
そのとき、ごく一部でも、犯罪に走ったとしたらどうか。
差別的な強硬派たちの「偏見」が、統計的裏づけを得た「事実」になりはしまいか。

ただし私の個人的印象では、引きこもりの当事者というのは、「この人は、犯罪を犯すぐらいなら自分が死ぬだろうな」と思わせるタイプの人ばかりです。




差別的認識を抜きにしても、対人接触や社会参加できない人間が数十万人規模で存在するというのは、本人にとっても、とても危険なことであるはずです。 「怒れる市民たち」が本気で弱者排除に走ったら、どうなることか…。
―― どうしても、この強迫観念じみた着想に帰ってきてしまいます。
「大丈夫だよ」というかた、いったいどういう前提に基づいておっしゃっているのですか?







*1:「引きこもりを放置すれば死に至る」というこの私の――強迫観念じみた?――認識は、一部のかたに批判されています。 そういうかたは、ぜひ私を「大丈夫だよ」と説得し、安心させてください…。