電話

 朝、電話でたたき起こされた。出ると、大阪の親の会(ひきこもり状態の子供を抱える親御さんたちの自主的な集まり)で知り合ったある母親。「上山さんはテレビなどで斎藤環さんとご一緒することが多いようだが、あの方は千葉県で遠すぎる。ついては、大阪で斎藤さんのようなやり方をしている精神科医を知らないか。あるいは、斎藤環さんに大阪で直接相談することはできないか」。「申し訳ないがそういう情報は持っていない」と答えたのだが、なんだかゴニョゴニョといつまでも話を引き伸ばされる。うう、胃が痛い。「親の会のほうで正式に講演会などをオファーしてはどうか」と答えてようやく電話を切る。気分悪くなって少しトイレで吐く。ひきこもりを巡る電話はいつもながらひどくつらい。
 切羽詰まって苦しんでいるのは分かるが、「斎藤環の知り合いらしい」というだけでこういう電話がかかってくるというのは・・・・。やはり「斎藤環先生ご推薦」の精神科医情報をそろえておけと言うわけか。しかし、推薦があったらあったでそこにまた殺到するだろうし、だいたい斎藤氏が直接臨床方針を把握している医院が全国にどれぐらいあるんだ?――それよりも、家族や当事者本人が「この斎藤環さんの本のような方針でやってみたいんですが」と言えないだろうか? 臨床の場を、家族や当事者自身が参加して作っていくという発想だ。ご家族にもご本人にも、「藁にもすがる」ような姿勢の方が多いのだが、「自分たちで作る」動きが出てくれれば嬉しいんだけど・・・・。*1
 それにしてもこういう話、以前は一人で抱え込んでいたのだ。ミーティング万歳。はてな万歳。

*1:個人的な相談内容についてはプライバシーを守るが、上記の電話については大丈夫だと思うので公表した。