「プロセスの危機」 3主題の一致
以下の3つは、同時に遂行される。 ふつうはバラバラに論じられるが、分解しては臨床的に意味がない。 さまざまな要因が、同時に一致して遂行されるという理解が必要。 ▼論じて組み直す創作が労働過程であり、同時に臨床過程でありつつ、交渉・契約の過程でもある。 生きることは Prozess として営まれる。
- 契約外労働としての《分析労働》 【労働過程論】
- プロセスとしての《フレーム形成》 【精神病理学】
- 現実とのつながり方、リアリティを問題にする《創作》 【美術や文芸の批評】
- 自分のリアリティを問題にすることは、やり方を間違うとたいへん危険。 ひきこもりで問題になる「再帰性」や「主体の実体化」(斎藤環)は、それ自体、本人が自分のリアリティに縛り付けられた状態。 それは自分のリアリティでありつつ、そのリアリティに自由を奪われている。
- いわゆる「当事者語り」は、その語る努力自身が、自傷行為のようになる危険がある*3。 本人が自分の現実にどう取り組むのか、その作法や手続きが分析・批評され、危険についてはアドバイスが必要になる。やみくもに「とにかく自分のリアリティを追求すればいい」*4というのでは、自滅的なだけの路線もOKという話になる。
- 斎藤環の臨床論には、ポイエーシス(制作)の契機が決定的に欠けている。