(2)埼玉県桶川 ・ I さん 事件は1999年10月

「ストーカー殺人事件」としてワイドショーや週刊誌でも騒がれ、非常に有名になった事件。 被害者のお母様が登壇される。 撮影禁止。
マスコミ報道との落差が非常に印象的だったので、少々くわしく書く。

 「ここに立っていることが不思議、去年の今頃は娘は生きていた、笑顔があった」
 「警察もマスコミも信用できると思っていたが全て裏切られた。 人間不信になった」

・・・・ゆがめられた報道を一つ一つ訂正してゆくような発表。

 「プリクラの機械が壊れて困っていたところに取り入ってきたのが犯人たちだった」
 「3ヶ月後には危険な連中と気付いたが遅かった」

細かい事実確認は、マスコミの扇情的な情報とはまったくちがう冷静なもの。
愛する娘のために戦う母親の姿を感じる。


ここでも警察のストーカーへの認識の甘さが口にされた。 相談に行ってもまったく無気力であり、真剣な態度が見られなかったという。 「家族を守るためだったら怖くない、告訴します」とまで言っていた娘さん(被害者)も、事件直前には「ダメ、警察は何もしてくれない」と絶望していた。 ・・・・危惧は現実のものとなり、

 「刺されたとき、娘は『いたい!』と言って・・・・亡くなりました」

 母親としては、最期のお別れを言いたかった。 だが、警察はあれこれと聞くだけ聞いて、ハンコだけ押させて私を家に帰した。 失意のどん底の被害者に何のいたわりも同情もない・・・。
 家に帰るとマスコミの取材攻勢でヘトヘト。 家族心中した方がましとも思った。 葬儀さえマスコミのせいでまともにできなかった。
 ワイドショーでは、「ブランド好きの女の子、殺されるにはワケがある」のような報道をされた。 あるコメンテーターは母親である私を非難した。 「どんな教育をしたのか」と。 「こんなに複数の男につけ回される女の子は絶対なにか握ってる」と言った有名なコメンテーターもいた。
 マスコミのせいで小学生の息子は学校へ行けなくなりかけ、近所で買い物をしていると「あの・・・」と指さされたり、回り込んで顔を見られたりした。

 「娘に今度会ったら、≪守ってあげられなくてごめんなさい、でも、あなたの強さをもらったので、これから頑張るからね≫と言いたい」