動詞形か名詞形か

茨城県の両事件について、ネット上で見つけることのできた報道をすべて読んでみた。 驚くほど「ひきこもり」「ニート」という言葉は使われていない。 (掲示板やBLOGでは頻出)
かなり例外的に感じたこちらの動画では、画面タイトルに「引きこもり28歳」とあり*1、一瞬だけ「引きこもり」という縦文字が登場するが、説明的な記述としては「自宅に引きこもっていた」という表現になっている。 つまり名詞形のラベリングとしての「ひきこもり」をことさらに強調するのではなく、「行動を動詞形で表現する」配慮を一部感じる。
これはマスコミ側の自覚的慎重さと考えていいんだろうか。 あるいは、私が好意的に解釈しすぎ? 
動詞形か名詞形かはけっこう重要な問題ではないか。
あ。 『「ひきこもり」だった僕から』。 思いっきり名詞形だ。*2
「ひきこもっていた僕から」なら問題ない、というか、ずっと感じていた違和感はこれだったか?
最初は編集者のかたから別のタイトル案をご提示いただいた。 私は動詞形にしろ名詞形にしろ「ひきこもり」という言葉をタイトルに入れること自体に抵抗があったのだが*3、まったくの新人だし、いくらなんでも「何の本かわからない」ということで、あとの詳細は省くが、最終的にこのようなタイトルに決定した。
しかし、「名詞形はまずい」とばかりも言えない。 名詞形で名指されなければ、施策や支援の対象としてカテゴリーが独立することもなく、議論そのものが成り立たないのではないか。
むずかしいな・・・。





*1:文字が不鮮明かつ小さくて最初気付かなかった。 ところで私はこの2事件についてのニュースやワイドショーをリアルタイムで見たことがないのですが(イベント等でばたばたしていたときに重なった)、どういうニュアンスで報道されていたでしょうか。

*2:ネタではなく、本当に書きながら今気がついた。

*3:今はむしろ、この「ひきこもり」という言葉につきまとうストレスを受け止めた上で考えるべきではないか、と思うようになっている。