2007-03-24から1日間の記事一覧

心的リアリティと執着心

本当にごまかすことのできない執着心の一つとして、「反論したい」が挙げられると思う。 倫理的な理不尽感や、黙殺されたリアリティへの執着。 自分に不正を働いた人間がのうのうと生き残り、嘘をつき続けることへの許せなさ。――そうした執着自体に意味がな…

「成熟とは、自己愛の安定」

斎藤環: 成熟とは、自己愛が安定すること。 つまり、不完全な自分を肯定できること。 所属も仕事もパートナーもなく、対象のない自己愛は非常に不安定。 ひきこもっている人の発想が「一発逆転型*1」になりがちなのは、リアルな自分への極端な否定感情ゆえ…

「欲望や自発性は無責任」

斎藤環: 欲望や自発性は、本質的に無責任。 ひきこもっている人や親御さんは、「意味のあるお金の使い方」ばかりを考えて苦しんでしまうが、むしろ「無駄遣いしてもいいお金」としての《お小遣い》こそが必要。 つまり、「責任を問われないお金」。 ある当…

「あらゆる関係性はSMだ」(フロイト)

斎藤環: 人間関係はコントロールできない。 いい加減にやるしかない。 御意。 しかし、単に「されるがまま」では、いいように利用されて泣き寝入りになる。 上山: 人間関係には、必ずトラブルが起こる。 だから、誰かとの関係を続けたいと願うことは、「そ…

「欲望と関係性はイコール」

斎藤環: 「自発性」が、国策レベルで非常に大きなテーマになっているが、ラカンというフランスの精神分析家は、「欲望は他者の欲望である」と言っている。 欲望と関係性はほとんどイコールであり、人間関係が欲望を生む。 人間関係とは、欲望の絡み合いであ…

抑圧・実体化

斎藤環: 1980年代半ばまで、「無気力症」という言い方があったが*1、実はひきこもりは無気力ではない。 むしろ欲望に苦しめられている。 しかし最終的には、欲望の枯渇したような非常に危険な状態になる。(統合失調症の荒廃状態とはまったく違う) 「ひき…

「好きな人」か、「友達」か

知人女性と話していて、お互いに非常に納得できた話。 この日のシンポジウムでも説明した。 すごく仲のいい相手が、自分にとって「好きな人」なのか、「友達」なのかの違いは、 その相手に「新しく恋人ができた」と聞かされて、 ショックを受けたら「好きな…

性愛的承認

斎藤環: 性的な他者に承認されることは、劇的な効果を持つ。 医者などにできることをはるかに超えている。 性愛は重要なテーマだと思うし、これからも考えたいが、実際にプライベートな関係を作ることは必要だろうか。 ▼恋愛市場に意識的に参加しない、とい…

シンポジウム 「外に出たくなるってどんなとき? 〜欲望と希望のあいだ〜」*1 【出演】 斎藤環さん (精神科医 爽風会佐々木病院) 【臨床】 上山和樹さん (『「ひきこもり」だった僕から』著者) 【経験者】 岡本圭太さん (よこはま若者サポートステーシ…